パパママは気をつけよう! 子どもへの『ダブルバインド』
相反する言葉や態度、表情で人に接することを意味する『ダブルバインド』。子育てにおける『ダブルバインド』とその影響について紹介します。
- 子育てにおける『ダブルバインド』とは?
- 『ダブルバインド』は子どもにどんな影響がある?
- 『ダブルバインド』にならないコミュニケーションのとり方
- 子どもが『ダブルバインド』で感じるストレスはかなり強い
子育てにおける『ダブルバインド』とは?
『ダブルバインド』という言葉を知っていますか?「二重拘束」という意味を持ち、矛盾した二つのメッセージを伝えることで、相手を混乱させたりストレスを与えたりするコミュニケーションのことです。言葉ではOKと伝えているのにNGの反応をする、子どもに望ましい行動をとってほしいために実際は行動にうつさない言葉をかけるなど、じつは日常の会話のなかで気づかないうちに『ダブルバインド』になっていることがあります。
たとえば「好きなお菓子を選んでいいよ」と伝え、子どもが500円くらいの玩具付きお菓子を持ってくると「高すぎるから他のものにしなさい」と言ってしまうケース。いくら言ってもおもちゃを片づけないとき、子どもが捨てられたくない一心で片づけ始めることを期待して「片づけないなら捨てちゃうよ」と、実際に捨てることはしないけれども言ってしまうケース。子育て期によくありそうなシーンですが、このような矛盾したコミュニケーションで、子どもは板挟みになったり、選択権のない声かけに従わざるを得ない状況に追い込まれてしまったりします。
『ダブルバインド』は子どもにどんな影響がある?
日常のなかで『ダブルバインド』のコミュニケーションが繰り返されると、子どもに以下のような影響が出ると言われています。
親子の信頼関係への悪影響
親が子どもをコントロールするために「片づけないなら捨てちゃうよ(実際は捨てない)」「わがまま言うなら置いていくよ(実際は置いていかない)」といったコミュニケーションをとると、子どもは捨てられたり置いていかれたりしないように心に不安を感じながら親に従うことになります。そして、この経験を重ね「親の言う通りにしなくても置いていかれない」ということがわかってくると、親の言葉に重みを感じず信用しなくなります。
自己肯定感の低下
『ダブルバインド』で選択肢のない状態に追い込まれ、親の支持や望んだ行動に従うことを強要されることで、子どもの自己肯定感(ありのままの自分を大切だと思える感覚)が低下し、親の目を気にしたり、親の価値観に合わせて行動したりしようとして、自分で考え意志を持つ意欲がそがれていきます。
子どもの行動への悪影響
子ども自身が親の真似をして、お友達に対して「これ貸してくれないと一緒に遊ばないよ」といったような『ダブルバインド』のコミュニケーションをとってしまう可能性もあります。
『ダブルバインド』にならないコミュニケーションのとり方
『ダブルバインド』にならないために、どのようなポイントに気をつけてコミュニケーションをとったらよいか、声がけの工夫について紹介します。
まずは子どもの気持ちに共感する
『ダブルバインド』にならないように気をつけたいものの、親もどう対応をとるべきか思考を巡らせて、とっさの対応が難しい場合も多いはず。そんなときは、まずは子どもの気持ちに共感する一言を伝え、思いを尊重している姿勢を見せましょう。「このお菓子が欲しいのね。でも少し高いから今度特別なときに買おうね」というように、子どもの気持ちに寄り添ったコミュニケーションを意識しましょう。
子どもが主体的に決められるコミュニケーションが理想ですが、予想外の要望や回答を挙げてくることありますよね。そんなときは「お菓子が欲しいの?AかBのどちらかだったらいいよ」「公園で遊びたいの?じゃあ3時まで遊んでから帰ろうか」と、予め許容できる選択肢や条件を示してあげましょう。
正しく伝わるように言葉を選ぶ
子どもはまだ意図をくみ取るコミュニケーションが難しいため、伝えられた言葉をダイレクトに受け取ってしまいます。『ダブルバインド』にならないように、子どもへの声かけは意図が正しく伝わるように言葉を選んでしっかり伝えることが大切です。「お片づけできないなら捨てちゃうよ」よりは「お片づけしないとお家がもので溢れて遊ぶ場所がなくなっちゃうから一緒に片づけよう!最初にどのおもちゃから片づけようか?」と、なぜ片づけが必要かを丁寧に伝えることで『ダブルバインド』を防ぎましょう。
言葉と態度を統一する
子どもは言葉と態度の矛盾を敏感に察知するそう。表情や声色なども伝えているメッセージと乖離しないように意識することも大切です。
子どもが『ダブルバインド』で感じるストレスはかなり強い
『ダブルバインド』のコミュニケーションは、ビジネスシーンにおいてもよく見られます。とくに上司から部下に発信される傾向があるようで、たとえば「なんでも質問していい」と言われ、質問すると「それくらい自分で考えろ」といったケース。従ったのに怒られ、従わなかった場合も怒られる状況で、受け手は強いストレスを感じます。大人でも苦痛を感じるコミュニケーションは子どもにとってはなおさらです。子どもと相容れない場合も『ダブルバインド』は避け、親も自分の素直な気持ちを伝えるよう意識することが大切です。