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悩ましい幼児の動画見過ぎ問題。どう対処する?

悩ましい幼児の動画見過ぎ問題。どう対処する?
親が手が離せないときの頼れる存在「動画」。一方、子どもの長時間視聴が気になっている方も多いのでは?幼児の動画視聴に関する考え方や、視聴制限、管理方法について紹介します。

  • 幼児の動画視聴は推奨時間を超過する傾向に
  • 幼児が動画を見るメリット
  • 幼児が動画を見るデメリット
  • 対策1 年齢に応じて視聴時間を制限する
  • 対策2 視聴コンテンツを制限する
  • 対策3 視聴できる場所を制限する

    幼児の動画視聴は推奨時間を超過する傾向に

    内閣府が行った令和4年度の調査によると、9歳以下の子どもの保護者の74.4%が、子どもがインターネットを利用していると回答し、この割合は平成30年度の56.9%から年々増加しています。 年齢別にみると、0歳で13.1%、1歳で28.6%、2歳以上で60%以上と半数を超え、4~5歳で70%以上、6歳で80%以上、7歳で90%以上が、インターネットを利用していると回答しています。

    子どものインターネットの利用内容を見ると、93.4%が「動画を見る」を挙げていて、次いで60.6%の「ゲームをする」が続きます。幼稚園や保育園でも動画の歌やネタが流行することがあり、子どもたちの生活のなかで動画視聴は欠かせない存在になっていることがわかります。

    良質なコンテンツは子どもの好奇心を刺激し、知識を広げるきっかけになる一方、成長や教育観点で注意喚起する意見も多くあります。そのため使用上のルールや制限に関して気になっているパパママも多いのではないでしょうか。幼児期の動画視聴におけるメリットとデメリット、そして対策について紹介します。

    幼児が動画を見るメリット

    ◇好奇心の刺激
    動画を通じて新たな興味を抱いたり、既存の興味をより深く探求することができます。

    ◇教育支援
    良質なコンテンツは、語彙や数字、日常では得られない知識などを楽しみながら学ぶ機会となります。

    ◇集中力
    子どもは動画に夢中になりやすいため、視聴中は集中して静かになります。

    幼児が動画を見るデメリット

    ◇依存リスク
    とくにYouTubeなどの短い動画は関連するコンテンツを次々と表示するため、子どもの興味を引き、時間を忘れて夢中になってしまいます。

    ◇時間の制約
    長時間の動画視聴によって、他の活動や遊びの時間が犠牲になる可能性があります。

    ◇品質の問題
    子どもにとってふさわしくない暴力的な内容や性的な内容などが含まれるコンテンツも存在します。

    ◇コミュニケーション機会の減少
    動画視聴は受動的で孤立した状態で楽しむため、周囲とのコミュニケーションが減少する可能性があります。

    ◇視力の低下
    長時間のスクリーン視聴は視力の低下につながる可能性があります。

    これらのメリットやデメリットをふまえて、関連団体や有識者が発信している対策について、次にまとめます。

    対策1 年齢に応じて視聴時間を制限する

    動画への依存や他の活動への影響、視力低下の対策として、視聴時間の制限が有効といわれています。IT業界の発展を牽引してきたスティーブ・ジョブズ氏やビル・ゲイツ氏も、自分の子どもたちのデジタルデバイスの使用について年齢や時間を制限していたというエピソードは聞いたことがある人も多いはず。

    各機関は1~2時間を推奨

    世界保健機構(WHO)では、スクリーンタイム(テレビや動画の視聴、スマートフォン操作やゲームをプレイする時間など)について、0~1歳児は推奨しない、2~4歳児は1時間以内にとどめる、などを盛り込んだガイドラインを提言しています。また、日本小児科医会では「メディアの総接触時間を2時間以内」を目安として推奨としているので、おおむね1~2時間以内を目安にするとよいでしょう。

    しかしながら、令和4年度の内閣府の調査では、2時間以上インターネットを使っている子どもは49.4%で平均視聴時間は121.9分という結果に。実態としては目安より視聴時間が長い家庭が多いようです。

    「視聴時間ルール」は子どもと一緒にルールを作って管理

    まずは子どもと一緒に視聴時間を管理するルールを作ることが大切です。たとえば、朝の登園や登校の準備を済ませた後、家を出る時間までは利用可能にしたり、帰宅後は1時間以内、休日は2時間以内、続けて1時間以上の視聴は禁止など、視聴時間のルールを約束します。

    幼児や児童には自己管理が難しい部分もあるので、制限時間を守ってもらうための対策を講じるとともに、ルールを守らなかったときの対応を子どもと一緒に決めておきます。

    制限時間を守ってもらう対策としてタイマーの活用があります。タイマーは残り時間が視覚的にわかり、子どもの自制心や時間感覚を養う観点でおすすめです。キッチンタイマーやスマホのタイマー、砂時計などでも時間を管理できますが、「この動画終わるまで見てもいい?」と子どもからの交渉が入って長引く傾向もあるため、スマホやタブレット、テレビなど各デバイス側の時間制限機能を利用しましょう。この機能を設定すると、動画を視聴中でも時間がきたら否応なしに見られなくなります。

    動画を最後まで見たいというこだわりがある場合は、15~30分の動画を3回まで、など回数で制限する方法もあります。時間はあくまで目安のため、過度に神経質に厳しくならず、子どもが自己管理できるように見守りながら支援してあげましょう。

    そして、ルールを守ることができなかった場合の対応についても子どもと確認しておきましょう。「ルールを守れなかった次の日は動画は見ない」などわかりやすい約束を設定し、子どもと都度ルールを確認し、どうやったら守れるかを話し合って決めます。子どもの年齢や状況に応じて、一緒に話し合いながら決めていくのがよいそうです。

    対策2 視聴コンテンツを制限する

    インターネットで動画を見ていると、子どもにとって不適切なコンテンツが表示されることがあります。また、動画を見て真似をした結果、子どもがケガをする事例も報告されています。このようなリスクを軽減するため、子ども向けのコンテンツを限定して提供するサービスもあります。

    たとえば「YouTube Kids」は、13歳未満の子ども向けに提供されているため、年齢別に視聴できる動画を保護者が管理することができます。また視聴履歴の確認や不適切動画のブロック、視聴時間制限も可能です。

    子ども向けではない広告が出てきて気になる場合は、有料のYouTube Premiumメンバーシップを検討することも一つの方法です。

    ブラウザでYouTubeを見る場合は、ブラウザごとにYouTubeの設定画面で「制限付きモード」にしたり、「YouTube Kids」以外の動画配信アプリをフォルダに隠しておくなどの対策をしましょう。

    対策3 視聴できる場所を制限する

    視力低下と親の管理外での使用を防止するため、自宅で動画を視聴する場合はリビングのテレビの使用をおすすめします。子どもがどういった動画を見ているのか保護者が把握できるうえ、画面が大きくスマホなどの小型のタブレットと比較すると離れて視聴するので目の負担を軽減できます。

    動画視聴やゲームの時間を制限したい一方で、アートやプログラミング、教養に関連するデジタル活動は積極的に行ってほしいという思いもあるので悩ましいところです。
    親が手が離せないとき、子どもに大人しくしてほしいときに頼りになる動画ですが、子どものことを考えると一定の管理は必要です。子どもが自己管理できる年齢になるまで対策と支援をしながら、動画視聴のメリットをうまく享受していきたいものです。