知っておきたい!「異次元の少子化対策」の具体的な内容とは?
政府が推進する「異次元の少子化対策」について、2023年6月発表の「こども未来戦略方針」で示された施策を詳しく紹介します。
- 今後3年間は少子化ストップの集中取組期間
- 「加速化プラン」のおもな施策
- 今後の取り組み、発表などにも注目を
- 子育てに係る経済的支援の強化と若い世代の所得向上に向けた取り組み
- すべての子ども・子育て世帯を対象とする支援の拡充
- 共働き・共育ての推進
- 子ども・子育てにやさしい社会づくりのための意識改革
- 所得制限の撤廃
- 支給期間を高校生年代まで延長
- 多子加算は第3子以降3万円に増額
- 子育て環境に優れた公的賃貸住宅に、子育て世帯が優先的に入居できる仕組みを導入。今後10年間で約20万戸を確保する。
- 空き家の所有者に、子育て世帯向けのセーフティネット住宅への登録を促進。今後10年間で約10万戸を確保する。
- 月一定時間までの利用可能枠のなかで、親の就労要件を問わず時間単位で柔軟に利用できる「こども誰でも通園制度(仮称)」を創設。2024年度からの本格実施を目指す。
- 病児保育の運営を充実させる。
- すべての子どもが放課後を安心・安全に過ごし、多様な体験・活動ができるよう放課後児童クラブを拡充し、常勤職員配置の改善などをはかる。
- 児童発達支援センターの機能を強化。医療的ケア児、聴覚障害児など、専門的支援が必要な子どもたちに対する地域における連携体制も強化する。
- 2025年度からの実施を目指し、出生後一定期間内に両親ともに育児休業を取得する場合、給付率を現行の「手取りで8割相当」から「手取りで10割相当」へ引き上げる。
- 子どもが2歳未満の期間の時短勤務について「育児時短就業給付(仮称)」を創設。女性のみが時短勤務を選択することで男女間のキャリア形成に差が生じないよう留意しつつ、2025年度からの実施を目指す。
- 2026年度までの実施を目指し、自営業・フリーランスなど国民年金第1号被保険者について、現行の「産前・産後期間の保険料免除制度」に加え、「育児期間に係る保険料免除措置」を創設する。
今後3年間は少子化ストップの集中取組期間
2022年に生まれた子どもの数は77万747人。統計が始まった1899年以降、最低の数字になりました。さらに2022年の合計特殊出生率(※)も1.26と過去最低になっていて、少子化のスピードが加速しています。
※合計特殊出生率:「15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの」で、1人の女性が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当します。
これを受けて政府は、若い世代が急激に減少する2030年代までを「少子化傾向を反転するためのラストチャンス」とし、「こども未来戦略会議」を設置。今後3年間を集中取組期間と位置づけた「加速化プラン」を提示しました。
「加速化プラン」の柱は大きく分けて次の4つです。
以下に、「加速化プラン」のおもな施策について具体的に紹介します。
「加速化プラン」のおもな施策
今後3年間の「加速化プラン」で示された施策には、次のようなものがあります。具体的に導入・実施時期が示されている施策について紹介します。
児童手当の拡充
以下の内容を2024年10月分から実施する見通し
出産などの経済的負担の軽減
2026年度を目標に、出産費用(正常分娩)の保険適用を含め出産に関する支援を強化
子育て世帯に対する住宅支援の強化
幼児教育・保育の質の向上
1歳児と4・5歳児に対応する職員配置基準を改善し、保育士の処遇改善を検討
すべての子育て家庭を対象とした保育の拡充
新・放課後子ども総合プランの実施
共働き・共育ての推進
今後の取り組み、発表などにも注目を
「加速化プラン」の予算規模は現時点でおおむね3兆円程度とされています。安定的な財源の確保や施策の実施時期、新たな政策の発表など、今後の動向にも注目しておきましょう。