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「こども家庭庁」ってなにをするところ?

「こども家庭庁」ってなにをするところ?
日本の新しい行政機関「こども家庭庁」について、創設の背景や目的、今後予定されている具体的な施策など、その概要を紹介します。

  • 基本方針は「こどもまんなか社会」の実現
  • 創設された背景と目的、移管される取り組み
  • こども家庭庁の3つの部門
  • こども家庭庁の「子育て家庭への具体的な支援」とは?

    基本方針は「こどもまんなか社会」の実現

    令和5年4月1日、新しい省庁「こども家庭庁」が発足しました。
    こども家庭庁は、子どもの教育や福祉をはじめ子育て支援や少子化対策など、子どもに関わるさまざまな政策を総合的に推進していく行政機関です。
    総理大臣直属の機関として内閣府の外局(※)に設置されたこども家庭庁。日本で新しい省庁が誕生するのは、令和3年9月1日のデジタル庁以来となります。
    ※ 内閣府または各省に直属しつつ、内部部局(内局)の外にあって、独立性や専門性の高い事項をつかさどる行政機関

    こども家庭庁の創設にあたって掲げられた「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」では、常に子どもの最善の利益を考え、子どもに関する取り組みや政策を社会の真ん中に据える「こどもまんなか社会」の実現が最重要コンセプトとされ、次のような主旨の基本理念が示されています。

    • 子どもの視点、子育て当事者の視点に立った政策を立案する
    • すべての子どもが健やかに、幸せな状態で成長できるよう良質な医療や福祉、教育などを提供する
    • 誰ひとり取り残さず、抜け落ちることのない支援を行う
    • 子どもや家庭の抱える複合的な課題への支援が、制度や組織による縦割りの壁、年齢の壁によって途切れないようにする
    • 「相談や申請を受けて行う支援」から、予防的な関わりも含め「サポートを必要とする子どもや家庭に積極的な情報提供や訪問を行う支援」へ転換する
    • データや統計、子どもからの意見聴取を含めエビデンスに基づいた政策を立案・実行し、評価・改善するサイクルをつくる

      創設された背景と目的、移管される取り組み

      出生率の低下(少子化)、子どもの貧困、児童虐待、不登校やいじめなど、子どもや子育て世帯を取り巻く社会問題は年々深刻化しています。こうした課題への取り組みは、これまで複数の省庁がそれぞれの分野を担当する形で行われてきました。
      こども家庭庁はこのような「省庁間の縦割り」を解消し、組織の隙間や年齢の切れ目で支援が取りこぼされることがないよう、こども政策に関する総合調整権限を一本化。 関係各省庁と連携しながら、進展しない事案があれば改善するよう勧告する、司令塔としての役割も担うことになります。

      各省庁からこども家庭庁に移管される取り組みには以下のようなものがあります。

      • 内閣府から/少子化対策、子ども・子育て支援、子どもの貧困対策、認定こども園、児童手当など
      • 内閣官房から/犯罪から子どもを守る取り組みなど
      • 厚生労働省から/児童虐待防止対策、ひとり親家庭支援、母子保健、保育所など
      • 国家公安委員会・警察庁から/児童の性的搾取対策など

      一方、特別支援学校を含む幼稚園・義務教育・高校教育・大学等、「教育」に関してはこれまでどおり文部科学省が担当し、いじめや不登校などについてはこども家庭庁と文部科学省が密接に連携して取り組んでいくことになっています。

      こども家庭庁の3つの部門

      こども家庭庁の組織は、内閣総理大臣、こども政策担当大臣、こども家庭庁長官のもとに「企画立案・総合調整部門」「成育部門」「支援部門」という3つの部門が置かれ、それぞれが次のような取り組みを担います。

      企画立案・総合調整部門

      子ども政策全体の仕事のとりまとめを担当します。子どもや若者の意見を聴いて政策に反映させる仕組みの検討、情報発信や広報、調査研究、またデジタル庁と連携し、能動的なプッシュ型支援を届けるためのデジタル基盤の整備なども行います。

      成育部門

      子どもが安心・安全に成長するための環境を整える部門です。妊娠・出産の支援や母子保健、未就園児対策を含む就学前のすべての子どもの育ちの保障、子どもにとってのさまざまな居場所づくりなどを担い、子どもの性的被害や事故の防止にも努めます。保育園・認定こども園・幼稚園の教育・保育内容の基準を文部科学省と共同告示することも役割のひとつです。

      支援部門

      さまざまな困難を抱える子どもや家庭のサポートを包括的に行う部門です。虐待やいじめの防止、不登校への対策、子どもの貧困対策、ひとり親家庭の支援、ヤングケアラーや障害児支援、社会的養護の充実などに取り組みます。

      こども家庭庁の「子育て家庭への具体的な支援」とは?

      こども家庭庁「令和5年度当初予算案の概要」によると、「妊娠期から子育て期の包括的な切れ目のない支援」に割かれる予算案は1,905億円(うち補正予算 1,374億円)。新設、拡充される支援には以下のようなものがあります。

      • 産後ケア事業等の推進
        -支援を必要とするすべての産婦が産後ケアを利用することができるよう、所得制限なく利用料を減免(2,500円/日(平均利用料の半額)、最大5日)
      • 低所得の妊婦に対する初回産科受診料の支援
        -市町村における低所得の妊婦の支援ニーズの把握と初回の産科受診料の助成を支援
      • 妊婦・低年齢児の親への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施(出産・子育て応援交付金)
      • 不妊や妊娠・出産を含む性と健康に関する相談支援や正しい知識の普及啓発を支援
      • 若年妊婦等への相談等支援
      • 母子健康対策の強化
      • 低出生体重児等多様性に配慮した分かりやすい母子保健情報の充実 など

      こども家庭庁が創設されたことで、今後は行政による子育て施策が変わっていくことになりそうです。

      <参考サイト>
      こども家庭庁
      こども政策の推進(こども家庭庁の設置等)|内閣官房