必要な人に必要な支援を「令和6年能登半島地震 支援情報ナビ」

広がる子連れ出勤、そのメリットデメリットとは

広がる子連れ出勤、そのメリットデメリットとは
乳幼児など手が離せない小さな子どもを持つ働きたいママを支援し、「少子高齢化」「人手不足」といった社会問題にも対応する施策として、子どもをオフィスに連れてくる「子連れ出勤」が注目を集めています。

  • 国・自治体・企業が「出産離職」を対策中!
  • 子連れ出勤のメリットとデメリット
  • 「子連れで働きたい」ママパパの本音

    国・自治体・企業が「出産離職」を対策中!

    国立社会保障・人口問題研究所の『現代日本の結婚と出産―第16回出生動向基本調査(独身者調査ならびに夫婦調査)報告書』によると、2015~2019年の出産前に就業していた女性のうち、第1子出産後の就業を継続する女性は69.5%、退職する女性は30.5%です(※)。育児への支援は拡充してきましたが、それでもなお、育児を理由として離職してしまう女性従業員は存在しています。
    ※出典:「現代日本の結婚と出産―第16回出生動向基本調査(独身者調査ならびに夫婦調査)報告書」(国立社会保障・人口問題研究所)(https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/doukou16_gaiyo.asp

    そんな中、育児離職の解決策として注目されているのが、企業による「子連れ出勤」を推奨する環境づくりです。

    政府は2019年に「子連れ出勤」の推奨を表明し、コワーキングスペースや授乳室の設置など、子連れ出勤支援に積極的に取り組む自治体に対し、地域少子化対策重点推進交付金の補助率を2分の1から3分の2へ引き上げました。最近では、つくばみらい市、岐阜市、豊明市などが試験導入を行っています。

    企業では、女性の活躍を積極的に推進するヤクルトが企業内保育の先駆けとして、約40年前から保育所を運営しています。ローソン、みずほFGなどの大手企業でも、事業所内に保育所が設置しており、ほかにも事業所内保育所を運営する企業が増えてきています。

    子連れ出勤のメリットとデメリット

    子連れ出勤の最大の魅力は、預け先が見つからない場合でもキャリアを中断せず仕事を継続できること。そして、子どもと過ごす時間をより多く確保できることです。

    子どもの成長を間近で見ることができるので、親がうれしいのはもちろん、子どもにとっても安心して過ごすことができるので情緒的なメリットも大きいですね。また、小さい子どもがいると、社内もふんわりと柔らかな雰囲気に。親子以外のナナメの関係ができることで、コミュニケーションの量と濃度のアップも期待できます。

    一方、デメリットもあります。
    まずは朝、夕方の通勤時に混雑した電車やバスに乗る必要があること。通勤環境や一日過ごす職場内スペースなどが子どもにとってベストな環境とは言えないことも事実です。

    また、業務中に子どもの状態が気になってしまい仕事の集中が途切れる、子どもがぐずったり、泣いたりした場合、他の従業員に迷惑がかかってしまうといった不安もあります。そんな時は親の方が委縮してしまい、仕事どころではなくなってしまうかもしれません。

    「子連れで働きたい」ママパパの本音

    子連れ出勤のデメリットや子育ての環境を考えると、保育園やこども園を利用できるのがベストでしょう。ただし、園への預けが叶わずに子連れ出勤制度もなければ、離職せざるを得ないママパパがいることも事実です。
    なかには「3歳までの保育料が高いから子連れ出勤を選択する」というママパパもいます。

    子どもにかかる費用や物価高も加わって、働きたいママが増加し続ける昨今。子連れ出勤制度は、どうしても子どもを預けるところがないママパパへの救済策という役割もさることながら、「子どもは社会全体で協力しながら育てるもの」という意識改革のきっかけになりつつあるようです。