2025年5月より、戸籍に氏名の振り仮名が記載されて漢字の読み方にも一定の基準が設けられます
2025年5月施行予定の改正戸籍法では「氏名の振り仮名」が必須となり、氏名の読み方にも一定の規律が設けられることになりました。
- 戸籍とマイナンバーカードに振り仮名を記載
- 振り仮名を記載するための手続きの流れ
- 改正戸籍法では「漢字本来と違う読み方」に一定の規律
戸籍とマイナンバーカードに振り仮名を記載
2023年6月2日、戸籍に関する改正法が成立し、2025年5月頃を目途に施行される見通しです。改正戸籍法では、これまで戸籍には記載のなかった「氏名の振り仮名」が必須となります。
子どもが生まれたときの出生届には「子の氏名」と「よみかた」の記入欄があり、住民票の氏名に振り仮名が表示される自治体もあるため意外に思われるかもしれませんが、現在、戸籍に記載されているのは氏名のみで、振り仮名(読み仮名)は登録されていません。
今回の法改正では戸籍に加えマイナンバーカードの記載事項にも氏名の振り仮名が加わることになり、それによって行政事務のデジタル化を推進し、本人確認の正確性を高めることがおもな目的とされています。
振り仮名を記載するための手続きの流れ
2024年3月時点の最新情報によると、戸籍に氏名の振り仮名を記載する手続きについて、法務省は次のような方法を想定しています。
(1)改正戸籍法の施行日(2025年5月頃を予定・以下同)以降、本籍地の市区町村が振り仮名の届け出受付を開始。
※施行日から1年以内に限り、氏名の振り仮名の届け出が可能。
※窓口での手続きのほか、郵送や、マイナンバーカード取得者向けのサイト「マイナポータル」を利用する方法も検討中。
(2)届け出を促すため、改正戸籍法の施行日以降、本籍地の市区町村から国民に、住民基本台帳などで把握している氏名の読み方を参考にした「氏名の振り仮名に関する情報」を通知。
※同一住所の世帯ごとに郵送で通知する予定。
(3)改正戸籍法の施行日から1年以内に届け出がなかった場合、本籍地の市区町村が職権により、上記(2)で通知した氏名の振り仮名を戸籍に記載。
【重要】
改正戸籍法の施行日以降に出生届を提出した新生児などが初めて戸籍に載る際は、氏名に併せて振り仮名も記載されます。
改正戸籍法では「漢字本来と違う読み方」に一定の規律
今回の改正戸籍法では、戸籍に記載される氏名の振り仮名について、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているもの」という規律が新たに設けられました。
届け出が認められない可能性のある振り仮名については、次のような例が挙げられています。
◇漢字の持つ意味とは逆の意味になる読み方
例:「高」と書いて「ヒクシ」と読む
◇読み違い・書き違いかどうかわかりにくい読み方
例:「太郎」と書いて「ジロウ」「サブロウ」などと読む
◇漢字の意味とは関連性のない読み方
例:「太郎」と書いて「ジョージ」「マイケル」などと読む
◇その他公序良俗に反するものなど
一方で、今のところ認められる可能性が高いのは次のような例です。
◇「名乗り訓」など慣用として用いられている読み方
例:「源頼朝(みなもとのよりとも)」の「朝(とも)」など
◇漢字と外国語の意味に関連性のある読み方
例:「騎士」と書いてナイト、「海」と書いて「マリン」など
◇漢字の意味から連想する読み方
例:「星」と書いて「ヒカル」など
【重要】
漢字の読み方に一定の基準が適用されるのは、おもに改正戸籍法の施行以降に生まれる子どもであり、すでに戸籍がある人は、一般の読み方以外だったとしても基本的には現在使用している読み方が尊重されます。
戸籍に掲載する振り仮名の届け出手順や、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているもの」の基準について、法務省は改正戸籍法の施行前までに、詳細を定めた通達を示すとしています。今後の動向にも注目しておきましょう。
<参考>
戸籍に振り仮名が記載されます|法務省