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子育てで大切な「アタッチメント」とは?

子育てで大切な「アタッチメント」とは?
「アタッチメント」とは心理用語のひとつで、特定の人(とくに親子)の間の「絆」を意味します。乳幼児期から「アタッチメント」を育むことが大切と言われていますが、その育み方について紹介します。

  • 子どもの健全な発達に不可欠な「アタッチメント(愛着)」
  • 「アタッチメント(愛着)」が形成されないとどうなる?
  • 「アタッチメント」を築くうえで大切なこと
  • 年齢別「アタッチメント」の育み

    子どもの健全な発達に不可欠な「アタッチメント(愛着)」

    「アタッチメント」は、イギリスの精神科医ジョン・ボウルビィが提唱した発達心理学における概念です。子どもの心身の健全な発達には、乳幼児と養育者の親密で継続的でしかも両者が満足と幸福感に満たされているような関係性が重要、と提言しています。

    特定の養育者(ママ・パパ・保育園の先生・祖父母など)との「アタッチメント(愛着)」を通して、子どもは愛されている自覚や自己肯定感を抱き、自律性を獲得していきます。つまり生まれて間もない赤ちゃんが抱っこしてもらったり、ミルクを飲ませてもらったり、慣れ親しんでいくことでお互いへの愛着をより一層深めていき、このような密接な関係が赤ちゃんを情緒豊かにのびのびと育むのです。

    「アタッチメント(愛着)」が形成されないとどうなる?

    「アタッチメント」がうまく形成されなかった場合、その後の成長段階において、他者との新たな愛着の形成が苦手となり、人を愛せない性格になる傾向があると言われています。具体的には、怒りやすい、癇癪を起こす、わがまま、いじめをするなどの傾向がみられたり、自尊心が低く、相手の立場に立って考えることが苦手といった特徴があるようです。

    子どもが意固地になったり、人を叩いたりと育児に悩んだら、まずは「アタッチメント」に立ち返りましょう。子どものこれらの行動は親の注意を引くためのものです。「アタッチメント」で満たされることで、これらの行動がなくなったりすることがあります。
    それでは「アタッチメント」を形成し育むにはどうしたらよいのでしょうか?

    「アタッチメント」を築くうえで大切なこと

    「アタッチメント」は、日々、子どもと関わることで自ずと形成される部分もありますが、いくつか意識することで、「アタッチメント」がさらに強固なものになります。

    「アタッチメント」に完成形はない!?

    アタッチメントは、「ある・ない」ではなく、いかに強めていけるかにこだわっていくことが大切です。
    そのためには、自信を持って愛情を注ぎ、その愛をストレートに伝えることを意識してみましょう。
    赤ちゃんが「あ~」と言ったら「あ~」と返事をする、子どもと一緒になって遊ぶ、といったように、子どもの発信に対して親がきちんとリアクションしてあげることで「アタッチメント」が強まると言われています。

    子どもが自分を隠さずありのままでいられることが大切

    泣きたいときに泣ける、怒りたいときに怒れる、全体的にポジティブな雰囲気のなかで、ネガティブな感情も受け入れてもらえる場所が理想です。これらのように、子どもにとって自分の存在を肯定し安全で安心できると思える場所、雰囲気をつくることで、子どもは『自分は守られていていろいろなことにチャレンジできる』と感じることができ、自律と自立が進みます。

    年齢別「アタッチメント」の育み

    「アタッチメント」を育む一番の土台は愛情です。前提として『あなたが大好き!』『とても大切な存在!』であることを日々ストレートに絶やさず伝えていきましょう。そのうえで年齢別のポイントを紹介します。

    乳幼児期

    ママやパパなど直接的な養育者と「アタッチメント」を育む時期。自分の発信に対して親がポジティブに反応したり、ぐずったり泣いたりしたときは受け止めて落ち着くまで抱きしめてくれたり、子どもが興味を示すものに一緒に関心を持って反応してくれたり、日々の子育てのなかで「アタッチメント」を育んでいきます。

    幼児期

    おじいちゃんやおばあちゃんなど「アタッチメント」の数を増やしていきます。自ら動いて話せるようになると興味は外に向いていきます。子どもの好奇心に応じてどんどん世界を広げてあげましょう。子どもにとっては直接的な養育者以外の人との距離を縮めることで社会性が育まれ、新しい経験やチャレンジにもつながります。
    ただし、子どもが求める愛情はエンドレスです。対象が増えても愛情の切り分けはしないので、両親からの愛情は変わらず注ぎ続けることを意識しましょう。

    就学前以降

    自分でできることが増えてくると、ついつい子ども任せになってしまうことが増えていきます。そんなタイミングで子どもの気になる行動や発言をキャッチしたら、子どもとの距離を今よりも縮めて、ひと手間かけてあげてください。たとえば、子どもと一緒に遊んだり家族全員でできるゲームをしたり、一人で眠れるようになったけれどもたまに一緒に寝てみたり、宿題をやるときには隣でみてあげたり。『一人でできる』と思わずいつもより関わってあげることで「アタッチメント」の強化につながります。

    「アタッチメント」は、子どもの心を育み豊かな人生を送るための土台になる大切なものであると同時に、親自身が子育てを楽しむ機会、親として成長し続ける機会をもたらしてくれます。時々子どもとの過ごし方など暮らしを振り返って、子どもにとっても親にとっても居心地のよい場所をつくっていきたいですね。