子育ての価値観の違い、どう解決していけばよい?
子どもが生まれてから、結婚した当初は気にならなかった価値観の違いに戸惑うパパママは多いようです。そこにお互いのおばあちゃん、おじいちゃんも加わったらさらにモヤモヤが増えます。そんな価値観の違いあるあるや、モヤモヤ解消方法を紹介します。
- パパの子育て参加で、夫婦間の「子育ての価値観の違い」に気づく機会も増えた!?
- 世代間の子育ての違いはどうする?
- たくさんの人が関わることで子育てはより充実する
パパの子育て参加で、夫婦間の「子育ての価値観の違い」に気づく機会も増えた!?
「イクメン」という言葉もすっかり定着し、男性が育児に参加するのも自然な流れになってきました。令和4年には育児・介護休業法も改正され、育児に参加しやすいよう制度も徐々に整ってきています。世の中ではパパの積極的な子育てがクローズアップされてきていますが、一方で課題となって浮かび上がってきたのが、お互いの子育てに対する価値観の違い。どんな仲良し夫婦でも育ってきた環境や経験してきたこと、もちろん性格だって違うのですから当然のことですね。
たとえば「子どもが1歳ぐらいになった頃に気に入らないことがあると人を叩くようになった」場合。ママは、他の子に手を出すと危ないと思ってすぐに叱ってやめさせる。パパは、まだ1歳だからわからないし、子どもがかわいいから叱らない。どちらにもきちんと理由があります。
ほかにも、食事中のテレビ、寝る時間、習い事や勉強、進学など日々のさまざまな場面でお互いの価値観の違いに気づくことになります。その違いの多さに嘆くママも多いようですが、そもそも心理学や脳科学の世界では「男女で選好や行動に差がある(性差)」と考えられています。たとえば、女性は罰を回避する傾向にあり、人に関わるものに意識が強い。一方男性は、刺激を求めがちでモノに対して強い興味を示し、リスクテイクに目が向く傾向にあるようです。
もちろん、価値観は百人百様なので一概にあてはまることではないですが、生き物としての傾向と捉えれば気がラクになることがあるかもしれませんね。ここは価値観を押し付け合わずに相手の立場を想像し、お互いの違いを認め合いながら、共通のルールをあらかじめ作ってみてはいかがでしょうか?
世代間の子育ての違いはどうする?
価値観の違いは夫婦だけに起こることではありません。子育てにおいて強力な助っ人でもあるおじいちゃん、おばあちゃんとも違いを感じることも多いかと思います。代表的なものを挙げてみると、
抱き癖
昔:泣いてすぐに抱っこしてしまうと抱き癖がついて、手がかかるようになる。むしろしっかり泣かせた方が、肺が強くなる。
今:泣いたら抱っこしてあげることで、赤ちゃんは「自分は大切にされている」と感じ、繰り返すことで自己肯定感を育む。
おむつ外れ
昔:おむつを外す時期は2歳までがよいとされていた。
今:成長のスピードは人それぞれなので子どものペースで問題ない。
保育園(3歳児神話)
昔:小さい頃から保育園に預けるのはかわいそう。3歳までは母親が見るべき。
今:平成10 年の厚生白書で「3 歳児神話には少なくとも合理的な根拠がない」と断定。保育園も専業主婦のママも利用できるよう、一時保育や赤ちゃんサークルなどを実施。ママたちの子育ての不安を和らげる役割も担っている。
果汁と離乳食
昔:離乳食が始まる前の生後3、4 カ月に果汁やスープを飲ませる。
今:離乳食の開始より前に果汁やスープは飲ませなくてよい。
日光浴
昔:母子手帳内に日光浴を勧める記述があった。
今:外気浴は直射日光を避け、日陰で。外出時は帽子などでUV ケアも心がける。
現在の子育ては「褒めて育てる」ものが基本です。おじいちゃん、おばあちゃんが育った時代はインターネットもスマホもまだ普及しておらず、社会や生活も今とはまったく異なります。自身の経験からよかれと思ってアドバイスしてくれるので悪気はないのですが、昔の価値観だけを押し付けられても困ってしまいますよね。
そこで、まずはおじいちゃん、おばあちゃんたち世代の子育てについて話を聞いてみてください。彼らの孫への思いがきっと理解できるはずです。そのうえで次は今の子育てについて、パンフレットや資料を使いながら伝えてみましょう。忘れてはいけないのが、「どちらが正しい、間違っている」という正解はないということ。その時代にはそれが正しかったのですから。
子育ての当事者はあくまでもパパとママ。おじいちゃん、おばあちゃんの意見が違うと思うなら、孫を心配してくれているという気持ちは受け取りつつ、感謝の気持ちを伝えながらも線を引いておくのもポイントです。
たくさんの人が関わることで子育てはより充実する
パパやママの価値観の違い、おじいちゃん、おばあちゃんとの世代間の違い。意見の相違があるとマイナスのイメージを持ってしまいがちですが、じつは子育てにおいて多様な価値観に触れられる環境は、夫婦にも子どもにもとてもプラスに働くことがあります。
もちろん子どもの前で言い争いになるのは避けたいところですが、パパとママの意見が違ったときは「パパがそう考える理由」「ママがそう感じる理由」をきちんと説明しながら意見をすり合わせていく過程が大切です。
子どもが理解できるようになれば、子ども自身に決めさせるようにしていきましょう。そうすることで多様な価値観のなかから自分で考えて、判断する力がついてきます。その過程を繰り返すなかで自分が決めたことに責任を負うことも学んでいけるのです。
さらにおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に過ごせば、自分の親ともまた違う考えに触れることができます。よい意味で子育てに責任を持たないおじいちゃん、おばあちゃんは子どものありのままの姿を受け入れてくれるので子どもの自己肯定感を育むことにつながります。
思い通りにならずに落ち込むことも多い子育てですが、さまざまな人との関わりや意見のすり合わせがより豊かな子育てになっていると考えて、前向きに取り組んでいきましょう。