妊娠初期に体験する不思議な身体の変化
妊娠してこれまで好きだったものが苦手になったという話をよく聞きます。人によってはよだれが増えたり、肌が荒れたり、気持ちが落ち込んだり・・・妊娠で起きる不思議な変化について解説します。
- 食べ物の好みが変化するのは妊娠初期
- 「げっぷつわり」や「よだれつわり」など口内の不快感も
- 肌荒れや肌の乾燥に注意。こまめに水分補給を
食べ物の好みが変化するのは妊娠初期
妊娠に気づいてから「苦手だった牛乳が飲めるようになった」「炊き立てご飯の匂いが苦手になった」「毎日カレーが食べたくなった」など食の好みが変わったという話をよく聞きますよね。突然、好きだったものが食べられなくなったり、嫌いなものを欲するようになったりという変化に驚いた妊婦さんも多いのではないでしょうか。
こうした妊娠による味覚の変化は妊娠初期、つわりが起こる時期に始まります。妊娠初期で終わる人もいれば出産するまで続く人もいて、その期間は人によってさまざまですが、出産後にはほとんどの人が元の好みに戻るようです。
じつはこの味覚変化、さまざまな要素が考えられるため、これだという原因が完全に特定されているわけではありません。ホルモンバランスによる口腔内環境の変化が大きく関係しているのではないかと言われています。
妊娠によって、女性ホルモンの「プロゲステロン」と「エストロゲン」の分泌が増加し、ホルモンバランスの変化によって口の中が渇きやすくなり味覚が感じにくくなるのではないか。また、つわりによる食欲不振で必要なミネラルやビタミンが不足することによって味覚が鈍ることも考えられています。
「げっぷつわり」や「よだれつわり」など口内の不快感も
妊娠初期から口内に不快感を覚える妊婦さんは多く、口の中が乾いてお口トラブルにつながったり、げっぷが頻繁に出る「げっぷつわり」やよだれが異常に増える「よだれつわり」に悩まされたりする人もいます。これらもはっきりとした原因は解明されていませんが、やはりホルモンバランスの変化から起きているものと考えられています。
「げっぷつわり」は、妊娠によるホルモン分泌の影響により筋肉がゆるむことから食道と胃の境目にある弁(下部食道括約筋)がゆるみ、空気や胃の内容物が逆流しやすくなっている状態で起こります。
また、胃に溜まった空気が多くなることでもげっぷが増えます。これは、ストレスや緊張が強い状態が続いたりすると何度も無意識に唾液と一緒に空気も飲み込んでしまい、胃に空気が溜まってげっぷになるためです。
「よだれつわり」は、つわりで唾液を飲み込みにくい状態になったり、通常より過剰に唾液が分泌されることにより起こります。ひどいときには口からあふれ出てくる唾液を拭き取るために、つねにティッシュやタオルが手放せないという状態になってしまうようです。
肌荒れや肌の乾燥に注意。こまめに水分補給を
女性ホルモンのバランスの乱れは他にも影響を与えています。妊娠初期は「プロゲステロン」の量がぐっと増加しますが、ホルモンバランスが崩れることによって自律神経が乱れやすくなります。ちょっとしたことでもイライラしたり、情緒が不安定になるのはこのためです。
見た目にも変化は訪れます。体形が変わってくるのはもちろんですが、妊娠後に肌荒れがひどくなる人は少なくないようです。「プロゲステロン」の働きのひとつに、色素細胞を活性化させて「メラニン」を作り出すというものがあります。メラニンの増加はシミやそばかすの元となることはよく知られるところですが、同時に皮脂分泌も活発にさせるため、肌ににきびや吹き出物などができやすい状態になります。
また、妊娠中は羊水や胎盤を作るためにも多くの水分を必要とするため、いつもどおりの量を摂るだけでは体内の水分が不足します。ビタミンなどの栄養不足や水分不足からも肌の乾燥や肌荒れにつながるので、普段より多めの水分補給を心がけてください。
とくに妊娠初期はおなかの赤ちゃんが著しく成長する時期でもあるため、ホルモンバランスが崩れやすく心と体に大きく影響します。急激な変化にストレスもたまりやすいので、あれもこれもと神経質にならずにゆったりとリラックスして過ごすようにしましょう。