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妊娠中は痔になりやすい!? 気になる症状と対策

妊娠中は痔になりやすい!? 気になる症状と対策
じつは女性の7割以上が罹患経験ありというほどポピュラーな疾患である「痔」。妊娠によるホルモンバランスの変化や、生活スタイルが変わったことから便秘になり、痔を発症する妊婦さんは多いそう。ここでは気になる原因や症状、対策について紹介します。

  • 妊娠すると痔になりやすいってほんと?
  • 妊婦に多くみられる症状
  • もしも痔になってしまったらどうする?

    妊娠すると痔になりやすいってほんと?

    身体にさまざまな変化がもたらされる妊娠。この妊娠や出産をきっかけにして痔になってしまう女性は少なくありません。ですが、お尻を見せるのが恥ずかしくて受診をためらってしまう人も多いです。
    そもそもどうして妊娠中は痔になりやすいのでしょうか。

    ある調査では、痔に罹患している女性を年齢別にみると、20代33.3%、30代36.6%、40代33.8%と若い人に比較的多くみられるようです。中でも妊娠・出産の時期に痔を発症する人は多く、その割合は40%以上、妊娠中期・後期での痔の発症率となると85%にも上るというデータもあります。

    妊娠すると子宮が大きくなることで、足から心臓へ戻る血流の静脈が圧迫されます。これにより肛門周囲の静脈がうっ血しやすくなり、かつ肛門が子宮に圧迫されやすくなります。さらに「プロゲステロン(交代ホルモン)」というホルモンが増加するのですが、このホルモンは腸の動きを抑える作用を持っています。

    腸の動きが鈍くなると便が腸に溜まって硬くなり、硬くなった便が肛門を通過する際に肛門を傷つけて痔を引き起こします。また、硬い便がようやく体外に排出されたことをきっかけに下痢を引き起こし、便秘と下痢を繰り返すことで痔になってしまう妊婦さんもいます。

    ひと言で「痔」といっても3つのタイプに分かれ、それぞれ痔核(じかく)、裂肛(れっこう)、痔瘻(じろう)といい、妊婦さんが罹患しやすいのが痔核=いぼ痔、と裂肛=切れ痔の2つです。

    妊婦に多くみられる症状

    痔になってしまうと、痛みや出血、かゆみといった症状にも悩まされることになります。個人差もありますが、だいたいは次のような症状がみられます。

    痔核(じかく)=いぼ痔

    便秘と下痢を繰り返すことで、肛門のクッション部に負担がかかってしまい、特定の部位が膨れ上がってイボ状になってしまうのがいぼ痔です。
    できる場所で名称が変わりますが、肛門の内側にできるのが内痔核、外側にできるのが外痔核となります。どちらも軽度の場合あまり痛みは伴わないのですが、病状の悪化とともに激しい痛みを伴い、手術が必要になることもあります。

    裂肛(れっこう)=切れ痔・さけ痔

    通常の粘膜よりも血行が悪いことに重ね、硬い便を押し出して排泄することが続いて、さらに緩い便も排泄することを何度も繰り返すと便に接する肛門部位が傷ついてしまいます。そのため排便時に痛みがあり、悪化すると座るだけで強い痛みをともなうことがあります。

    肛門周囲の皮膚炎

    妊娠中は便秘や下痢になることで肛門周りの皮膚が過敏になり、かぶれやただれ、かゆみなどを伴う炎症が起きやすい状態になっています。

    痔の症状は、段階にもよりますが塗り薬だけで治るケースもあり、必ずしも手術しないといけないわけではありません。

    もしも痔になってしまったらどうする?

    痔は自然に治ってしまうこともありますが、子育て中は辛い症状を我慢したり、悪化しながらも恥ずかしさから診察を受けずに放置してしまいがち。痔は恥ずかしい病気ではないと割り切って、かかりつけの産婦人科に相談することをおすすめします。

    痔に罹患している人が気を付けておきたいのは、食物繊維や栄養バランスを考えて、便秘になりにくい食生活を送ること。決まった時間にトイレに行き、しっかり水分を摂ることも大切です。
    何よりも便秘は痔になる大きな要因のひとつ。食事や水分のほかにも入浴はシャワーだけではなく、下半身を温めて血行を良くしておくことも有効です。夏場はシャワー派という人も、冷房などで身体が冷えてしまっていることも多いのため、半身浴などを活用して湯船に浸かり芯から身体を温めましょう。冬場はトイレの便座が冷たいと筋肉が緊張して便が出にくくなってしまいます。トイレ暖房器やカバーなどでトイレの中を温かくしておくのも便秘の予防になります。

    「私は痔にはならない」と思っている人も、今はただ排便状態に問題がないために症状に現れていないだけで、誰が、いつ症状が出てきたとしてもおかしくない病気です。決して特別な病気ではなく、むしろかかりやすい病気ともいえるので、普段からの生活習慣をきちんと見直して予防に努めましょう。