妊娠中に重いものを持つのは危険?
妊娠しても上の子を抱っこしたり、大量に買い物をしたりして、重いものを持たなければならないことがあります。ここでは、妊娠中に重いものを持つことのリスクについて紹介します。
- 妊娠中は腰痛になりやすい
- 「重いものを持つと流産する」ってホント?
- 「重いもの」の基準ってどのくらい?
妊娠中は腰痛になりやすい
妊娠するとカラダにはさまざまな変化が起こります。じつはこの変化により、妊婦さんは腰痛が起こりやすくなっているんです。
妊娠による無意識の防御反応
妊娠初期は今までと同じ動きをしていても無意識におなかを守るようになることがあります。姿勢の変化により、背中側に負担がかかって腰痛につながる恐れがあります。
リラキシン分泌による関節の緩み
妊娠すると、出産時におなかの赤ちゃんが産道をうまく通過できるようにホルモン(リラキシン)が分泌されます。リラキシンには関節を緩める働きがあり、その働き自体は出産に向けての必要な変化ですが、一方で、腰痛の原因にもなります。
子宮が大きくなるにつれて増える背中・腰への負担
妊娠すると、子宮はどんどん大きくなっていきます。妊娠初期では10mLだった子宮の容量が、妊娠後期には約5Lとおよそ500倍にまで増加するのですから驚きです。これだけ急激な成長なので、腰や背中の筋肉への負担は通常時よりもぐっと増えています。
このように、妊娠中は重いものを持つ持たないにかかわらず腰痛になりやすい状態となっています。その状態で重いものを持ってしまうと、さらに腰に負荷がかかって腰を痛めたり、骨盤底筋にダメージを与える可能性がでてきます。
腰や骨盤底筋に負担をかけないよう重いものを持つことはなるべく避け、疲れたら適宜休憩をとりつつ、無理な動きをしないよう気をつけましょう。
「重いものを持つと流産する」ってホント?
ちなみに「重いものを持つと、流産になる」と心配する人がいるようですが、重いものを持ったことが原因で流産を引き起こすという科学的根拠は、じつはありません。仮に重いものを持って腹圧がかかってしまったとしても、赤ちゃんは子宮と羊水で守られている状態なので、大きな影響は受けないと考えられています。
「重いもの」の基準ってどのくらい?
具体的な「重さ」の基準はありません。それぞれの妊婦さんの筋力や体力、身体の状態などによって避けるべき「重さ」は変わるからです。
一般的にはおのずとおなかに力が入ってしまったり、腰に負担がかかっているように感じるなど一定以上の力を使って頑張る必要がある重さは避けておくべきです。
また、おなかに力が入ってしまうのは、重いものを持ったときだけとは限りません。
仕事や家事などでずっと立ちっぱなしになってしまう場合も重いものを持つのと同様におなかに力が入ってしまいます。立ち仕事なら座ってできる業務を割り振ってもらう、家事をしているときは、時々座って一息つけるようにハイチェアなどを活用し、立っている時間を短くする工夫も必要です。
なお、労働基準法において妊娠中・出産後のママの仕事には一部制限が設けられており、重量物を取り扱う作業に制限が設けられています。腹圧がかかる力仕事は避け、他の人を頼る、道具を使うなど、なるべく負担を減らしていきましょう。