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子どもの「セルフコントロール力」を鍛えるコツ

子どもの「セルフコントロール力」を鍛えるコツ順番を待つ、我慢が必要なところで我慢する、子どもにとって感情や欲求に負けず気持ちをコントロールする力は大切です。幼少期に養った自制心は成長してからも影響するといわれています。セルフコントロール力とその鍛え方について紹介します。

  • セルフコントロール力とは
  • 幼少期に培った「セルフコントロール力」はその後の成長に影響する!?
  • 幼少期からのセルフコントロール力の鍛え方

    セルフコントロール力とは

    自分の感情や欲望をおさえようとする心を自制心といい、「セルフコントロール力」ともいわれています。このセルフコントロール力は、人生を豊かにするうえで大切な能力「非認知能力」のひとつとして注目されていて、教育機関でもセルフコントロール力を養うための取り組みが積極的に行われています。

    セルフコントロール(自制心)には一定の我慢が生じるのですが、目的のない我慢や強いられた我慢ではありません。人間関係や社会的影響を考慮した我慢、先を見据えて自分自身で判断したうえでの我慢がセルフコントロールです。

    セルフコントロールできる子どもは、一番にすべり台をすべりたい気持ちをおさえて列の順番に並んだり、遊びたい気持ちをおさえて宿題にとりかかるといった行動が見られます。感情に振り回されることが少なく気持ちが安定していて、良好な人間関係を作りやすく、学業にもよい影響を及ぼすといわれています。

    幼少期に培った「セルフコントロール力」はその後の成長に影響する!?

    今から約50年前、スタンフォード大学で「マシュマロテスト」と呼ばれる実験が行われました。平均年齢4歳半の子どもたちに、目の前にある1個のマシュマロを15分間食べずに我慢できたら2個あげることを伝え、大人が立ち去ったあと子どもが我慢できるかを観察するテストです。

    3分の2の子どもは制限時間までに食べてしまい、3分の1の子どもは我慢して待つことができました。この実験から18年後に対象者に学力テストを実施したところ、我慢できた子どもたちの点数のほうが高かったという結果が出ました。

    21年後さらに脳の検査をしたところ、我慢できた子どもたちの脳では、計画や社会行動の調整に関係する前頭前野皮質が活発に働き、我慢できなかった子どもたちの脳では、快感や満足度に関係する腹側線条体が活発に働いていることがわかりました。

    つまり幼少期と成長してからのセルフコントロール力に相関があること、学力に影響があることがわかったのです。

    幼少期からのセルフコントロール力の鍛え方

    セルフコントロール力は、日ごろの生活や遊びで鍛えることができます。その一例を紹介します。

    遊びで鍛える

    一定の制限やルールのある以下のような遊びはセルフコントロール力を養います。

    ■コップの水をこぼさずゴールする
    水がなみなみと入ったコップを持って水をこぼさず歩くのは幼児にとって難しいものです。速く歩きたい気持ちをおさえながら、こぼれないように歩くことで、セルフコントロール力が鍛えられます。

    ■ごっこ遊び
    子どもが自分で考えて役割や立ち回りを決めて行動するごっこ遊びは、セルフコントロール力向上につながる脳の前頭前野を刺激するといわれています。自分で考えて決めることでルールを守る気持ちを強く持つことができます。親が先回りしたりせずに子どもの好きなシチュエーションに沿って、ごっこ遊びに付き合ってあげることが効果的です。

    ■複数人でゲーム
    順番を待ったり、自分の思うような展開にならなかったときに気持ちを切り替える経験がセルフコントロール力を育みます。最初は思うようにいかないときに途中でやめたり、ずるをしたりしますが、繰り返し遊んでいるうちに我慢できるようになっていきます。

    ルールを守れたら褒める

    ルールを守ることができたら、そのタイミングでしっかり褒めてあげましょう。ルールを守ることがボジティブなイメージになり、自ら「ルールを守りたい」という気持ちが醸成されます。子どもが能動的にルールを守れるようになると、ルールを守る経験がたくさん蓄積されて、自制心も鍛えられていきます。

    公共のマナーと守る理由を伝える

    社会におけるルールやマナーは子どもにとって学びになるよい機会です。たとえば、電車に乗る前に「こらから乗る電車の中では静かにじっとしていようね。たくさんの人が気持ちよく乗るためのお約束だからね」など、事前に理由も含めて声かけをしてあげましょう。マナーやルールを守る理由がわかると、子どもは自分のふるまいや気持ちをコントロールしやすくなります。

    親が見本になる

    親があえて子どもの前でセルフコントロール力を発揮してみせます。たとえば、予定のある休日の朝食後「もう少しゆっくりしていたいけど、そろそろ片づけて準備しないと間に合わなくなるね!」など子どもにも声かけをして、気持ちを切り替えて行動する見本となります。

    セルフコントロール力を高めていくうえで、親が大きな声で怒ったり、指示を出し過ぎるのはあまり適切な方法ではありません。大声で怒る行為は子どもに不安や恐怖を与え、自ら選択するセルフコントロールではなく、強制的な我慢をさせてしまいます。

    また、親が先回りして指示を出し過ぎると、自ら考えて気持ちを切り替えるタイミングを失ってしまいます。できるだけ子どもに寄り添い見守りながら、子ども自身が考えてセルフコントロールできる機会を作ってあげたいものです。