何度叱っても同じことを繰り返すのはなぜ?
何度注意しても、叱っても、同じことを繰り返す子どもに途方に暮れるママ・パパ。脳科学や心理学において「叱る」ことは効果的ではないようです。子どもが理解できるよう、ストレスなく伝えるにはどうしたらいいのでしょうか。
- 同じことを繰り返すのは注目されたいから
- 繰りかえす原因の一端は大人にも!?
- 叱られた直後に行動を変えるのは脳の防御反応
- 視点を変えて叱る回数を減らそう
同じことを繰り返すのは注目されたいから
子どもが同じ行動を繰り返す理由のひとつは「注目されたい」という欲求です。いたずらをしたとき、騒いだときにはすぐにママやパパが反応して振り向いてくれるので、まさに子どもにとっては親を振り向かせる手段になっているのです。これでは叱っても効果がないのは当然です。こうした行動は年齢が小さい子どもに多くみられます。
繰りかえす原因の一端は大人にも!?
じつは叱る側に原因がある場合もあります。
ママやパパに知ってもらいたいのが、人には「処罰欲求」という悪いことをした人に罰を与えたいという生来の欲求が備わっているということ。叱ることで子どもが一時的に思い通りになると、処罰感情が満たされます。子どもの行動を変えられたという充足感と悪いことを叱責したという満足感を得ると、「叱る」という行為が慢性化してしまうことがあります。
一方、子どもはだんだん叱られることに慣れてきてしまうため、叱られても同じ行為を繰り返し、その結果さらに強く叱るという悪循環に陥ってしまうのです。
「それは本当に叱るべきことか」「惰性で叱っていないか」を意識することが大切です。
叱られた直後に行動を変えるのは脳の防御反応
注目されたくて行動を起こしていても、叱られている最中は子ども側も強いストレスを感じています。ネガティブな感情に支配され、脳の機能を一時的に低下させた状態が連続して起こっていると考えられます。
この状態を脳神経科学では「防御反応」といいます。防御反応は本来、危機的な状況のときだけあらわれるべきもので、たとえば森でクマに出くわしたら「このクマの種類はなんだろうか」などと冷静に判断したり、考えたりすることはできなくなるのと同じ状態なのです。
親としてはやってはいけないことを常日頃から説明しているつもりでも、実際には叱っているときにだけ伝えているとしたら、子どもの防御反応によりもっとも伝わりにくい状態となっているのです。叱るという行為は、結果的に親が教えているつもりになっているだけで、根本的な学びや成長の機会を遮ってしまっているにすぎないため、むしろ子どもの成長のさまたげとなる行為ともいえます。
視点を変えて叱る回数を減らそう
それならどのように子どもに伝えて理解させたらよいのでしょうか。
まずは、子どもも親も落ち着いている「平時」に伝えることがポイントです。親は子どものよくない行動こそよく目につくため、やめさせようとすぐに叱ってしまいますが、子どもにはよい行動をしたときこそママパパが自分に注目してくれると思わせましょう。
例えば、食事のときにふざける子どもには、ご飯をきちんと食べているときにすかさず、「おいしそうに上手に食べて素敵だね」と褒めます。嬉しい気持ちを体験することで、褒められることをもっと増やそうと子どもは頑張ります。親はよくない行動に目が行きがちですが、よいことを見つけて褒めることを繰り返せば、叱るべきことがあったときにも「◯◯のときは△△となってしまうことが多いから、次は□□してみようね」と伝えることでお互いの理解も深まっていくはずです。