6月は「食育月間」。今、知っておきたい食育のこと
毎年6月は「食育月間」です。食育という言葉が浸透しはじめたのは何がきっかけだったのか、食育の大きな目標は何なのか、家庭でできる食育にはどんなものがあるのか。この機会に、あらためて考えてみましょう。
「食育」の大切さに関心が集まった背景とは?
日本で初めて「食育」が提唱されたのは、今から120年以上も昔の1896年(明治29年)。医師で薬剤師の石塚左玄がその著書のなかで「学童を持つ人は、躰育も智育も才育もすべて食育にあると考えるべきである」と述べ、食の栄養や組み合わせなどに関する知識とそれに基づく食生活が、体育、知育、才育の基本になる、と食育の大切さを説いています。
それから100年以上の時が流れ、急速に発展した日本は、ライフスタイルにも大きな変化がありました。食の選択肢が広がり、多彩な食を楽しめるようになった一方で、さまざまな問題点が指摘されるようになりました。
たとえば栄養の偏り。野菜の摂取量が減って脂質や塩分、糖分の摂取量が増え、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病が増加するなか、逆に過度の痩身志向から必要なエネルギーを摂らず、健康を損ねるケースも生じています。
そして、活動時間の違いなどから家族がいても一人で食事をする「孤食」や、同じ食卓でおのおの別のものを食べる「個食」。朝食を食べないなど朝昼晩に規則的な食事をとらない子どもや大人の増加。
またそれにともなって、地域の気候や風土風習と密接に結びついた「日本型の食生活」が徐々に失われつつあること。
さらには食の安全や信頼、食の海外依存にまつわる課題など、「食をとりまく環境」が大きく変わっていったのです。