気になる「友達力」とは。子どものお友達づくりで大切なこと
新しい生活がスタートし、子どもがお友達とうまく遊べるか、仲よくやっていけるか気になる人も多いのでは? 子どもがお友達と関わっていくなかで大切な「友達力」。対外的なコミュニケーション力の土台となる「友達力」をつけるために大切なことを紹介します。
- 何歳くらいからお友達と遊ぶようになるの?
- 子どもの「友達力」をつけるために親ができること
何歳くらいからお友達と遊ぶようになるの?
子どもの人間関係は成長とともに変化していきます。お友達と関わって遊ぶようになるのは3歳くらいからと言われています。
1歳未満は他の子どもにはまだ興味を示さず、自分の興味があるものに反応したり手に取ったりしながら、両親や祖父母、保育士など身近な大人が関わりながら一緒に遊んでもらう時期です。
1~2歳になると、他の子どもの様子や使っているおもちゃが気になって眺めたり、他の子どもを意識し始めます。しかし、まだ一緒に遊ぶことはほとんどなく、ひとり遊びが中心の時期です。
2~3歳になると、他の子どもに関心を示し始めます。一緒に同じことをして遊ぶのが楽しい時期です。しかし他の子と上手にやりとりするのはまだ難しく、自分の気持ちが先立つことでトラブルになることもあります。
3~4歳になると、他の子どもに共感できるようになり、ごっこ遊びが盛んになります。しかし自分の気持ちを調整しながら遊ぶのはまだ難しい場合があります。
4歳以上になるといろいろなルールを理解し、他の子どもとおもちゃを貸し借りしたり、順番を守って遊んだりできるようになります。また相手の気持ちを考えられるようになり、自分の考えも言葉で伝えられるようになって、お友達との遊びが広がっていきます。
子どもの「友達力」をつけるために親ができること
23年間教師を務めた教育評論家、親野智可等さんは「友達との人間関係をうまく調節する力」のことを「友達力」と呼んでいます。「友達力」は大人になってからの人間関係にも通じる、人が生きていくうえでとても大切なものとしています。
常に友達の先頭に立っているようなリーダータイプや、周りの友達に合わせるタイプでもなく、自分の気持ちをきちんと友達に伝えることができて友達の意見や気持ちも思いやれる、そんなバランス感覚が優れた子が「友達力」がある子です。
「友達力」を育むために親ができることとして次のことを挙げています。
理解・受容・共感を持って育てる
子どもが最初に築く人間関係は親子関係です。親が強い口調で叱ることが多ければ、友達に対して威圧的な態度をとることが多いなど、親子関係が友達関係に反映される傾向があります。まずは叱ることを減らし、子どもの立場になり気持ちを理解して寄り添い共感してあげることで、親子の信頼関係を築きましょう。これが他者信頼感にもつながり、友達関係を築くうえでの大切な土台となります。
子どもは親にしてもらったのと同じことを人にするようになるので、親が子を思いやりながら育てることで、子どもも友達に思いやりを持って接するようになるでしょう。
両親以外の人と触れ合う機会を作り見守る
友達と遊ぶようになる年齢に達していなくても、小さい頃から両親以外の大人や子どもと触れ合える機会を作ってあげましょう。ただし機会を作るだけで無理強いせず見守ることが大切です。
遊び場に連れて行っても、子どもがそこの遊具で遊ばなかったり、他の子どもと接することを嫌がることがあると思います。そういう時は親の気持ちやペースで促すのではなく、子どもが動きだすのを待ってみましょう。遊びに興味がある子、人に興味がある子、子どもの個性はさまざまです。初めての場所や人が苦手な子どももいます。その場合は、まずその子が自分なりにその場に安心できて初めて外のことに興味を持つことができます。周りに興味を示すまでには時間と機会が必要です。子どもがリラックスして周りの子どもを意識しだしたら少し働きかけてみるといいかもしれません。
一人でも何かに熱中できる時間を大切にする
友達と遊ぶことが大切な一方、「一人でいる力」も必要と親野さんは提唱しています。熱中するくらい好きなこと、好きな世界がある子どもは一人でも平気です。そういった子どもは友達に頼りすぎることなくバランスよく友達関係を築いていけるそう。「一人でいる力」があれば、力や発言力の強い子の仲間に入ろうと従順になる必要もありません。
一人で黙々と熱中している時は、無理に友達と遊ばせようとしなくても大丈夫です。熱中して一人で遊びたい時間なので見守ってあげましょう。自分の興味が向くことを心ゆくまで楽しめたら、周りのことにも興味を持って自ら楽しみを広げていけるようになります。
お友達とのコミュニケーションをロールプレイする
せっかく周りのお友達と遊びたくなっても、うまく切り出せない場合があります。そんな様子を感じたら「『ボクも一緒にいれて』って言ってみようか」と子どもに切り出し方の見本を見せてあげましょう。もしお友達から「イヤ!」と拒否された場合は、幼児期は親が「じゃあ、見てていい?」「次は一緒にやってもいい?」と切り返しの見本を見せることで、子どもはお友達とのコミュニケーションを学ぶことができます。年齢によってはいろんなシチュエーションを設定して一緒に切り返しを考えたり、実際に子どもに声に出して練習させてみましょう。ロールプレイの中でその言葉を口に出して言う練習をしておけば、本番でも言いやすくなります。
子どもが最初に築く人間関係は親子関係です。親が子どもを一人の人間として尊重して接していれば、子どもも親や周りの人に同じものを返してくれます。親野さんは「親子というのは親友のような関係でいいと思っています」とおっしゃっています。子どもの「友達力」を高めていくためにも、まずは親子関係をしっかりと築いていくことを大切にしていきたいものです。