外出も気軽に!「液体ミルク」で育児がラクになる?
日本での液体ミルクの販売が、2019年3月11日にスタートしました。
東日本大震災や熊本地震の際に、フィンランドから送られた液体ミルクが被災地の多くの赤ちゃんを救ったと、当時話題になりました。常温ですぐに飲ませることができる液体ミルク。上手に活用して、育児負担の軽減につながると嬉しいですね。
お湯で溶かさずすぐ飲める「液体ミルク」の販売スタート
液体ミルクは、粉ミルクと違いお湯で溶かす手間がなくすぐに飲めるので、災害時の備蓄用としても期待されています。夜中眠い中のミルク作りがラクになるなど、育児負担の軽減や、パパの育児参加にも一役かってくれそうなところもいいですね。常温保存が可能でなので、外出時や旅行先にも持って行きやすく、無菌状態でパックされているため、衛生面でも安心だとされています。
ただ、粉ミルクに比べると、価格が割高なことと、賞味期限が短いことがマイナス点だと言えそうです。消費者庁では、「開封後はすぐに使用し、飲み残しは与えないでほしい」と呼びかけています。
被災地でたくさんの赤ちゃんを救った「液体ミルク」
海外では一般的な液体ミルクでしたが、これまで日本で製造販売がなかったのは、厚生労働省の省令で、液体ミルクの製造販売が認められていなかったため。
日本で販売がスタートしたちょうど8年前にあたる2011年3月11日は、東日本大震災の日にあたりますが、この震災の際にフィンランドに住む日本人ママの発案により東北の被災地に届けられた液体ミルクが、多くの赤ちゃんを救ったと話題になりました。粉ミルクを溶かすお水がない、お水はあってもお湯にするための手段である電気、ガスが止まっている、という状況の被災地では、常温でそのまま飲める液体ミルクがとても重宝し喜ばれたそうです。さらに5年後の熊本地震でも、東日本大震災での液体ミルクの重要性から発足された「液体ミルクプロジェクト」の活動により、フィンランドの液体ミルクが5190パック届けられ、被災地の親子に配布されました。その後、国内での液体ミルクの必要性を訴え、日本での販売流通を求める署名活動が行われたこともあり、厚生労働省も検証を開始、その安全性が確認されたため、ついに販売となりました。
パッケージ記載の「母乳は最良」の文言の意味は?
液体ミルクの販売開始が嬉しいニュースとして取り上げられている一方で、液体ミルクのパッケージに記された「母乳が赤ちゃんにとって最良の栄養です」の文言が、お母さんたちを嫌な気持ちにさせているのではという報道もありました。
これは、世界保健機構(WHO)などが運営する食の国際規格に沿い、消費者庁が明記を義務づけたもので、粉ミルクの缶にも明記されています。WHOでは、母乳は栄養が豊富なだけでなく、乳児の免疫機能を高め、産後の母体の回復も促すと、生後6か月までは母乳のみで育てることを推奨しており、そのため、液体ミルクや粉ミルクのパッケージに母乳が「ベストフード」であるという意味あいの明記を義務付けているということです。もちろん、母乳育児以外を否定しているわけではありません。
今回日本で発売された液体ミルクは、紙パックやスチール缶に入れられていて、赤ちゃんに飲ませる時は哺乳瓶に移し替えが必要ですが、海外では吸い口を付けるだけで飲ませる事ができる、より便利なものが普及されているようです。日本ではまだ販売間もない液体ミルクですが、上手に活用してママやパパの育児負担の軽減につながれば嬉しいですね。