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出産費用をサポートしてもらう②|出産手当金の支給

この記事は社会保険労務士が監修しています。

出産前の大切な時期を安静に過ごせるよう、また出産後に順調に体調を回復できるように、産前・産後休業の期間があります。
その一方で、収入のことを考えてみると、ママが仕事を休み、お給料や手当がもらえないと、一時的であれ、収入が減ってしまいます。しかし、出産前後にはいろいろとお金がかかります。そんな経済的な負担・不安を軽くしてくれる制度が「出産手当金」です。

産前・産後休業について詳しくはこちら

出産手当金の対象

出産手当金は、ママが妊娠4か月(85日)以上で出産する場合で、産前・産後の休業期間中の仕事を休んだ日に対して、ママ本人が加入している健康保険から支給されます。(パパは対象外です。)
ここで言う妊娠4か月(85日)以上の出産には、死産、流産、人工妊娠中絶を含みます。
原則として、ママ本人が健康保険に加入していることが条件の一つになっているため、次の状態になった日以降に産前・産後休業を開始したママは、出産手当金の対象外となりますので注意してください。

●ご家族に扶養されているママ
●市区町村の国民健康保険に加入しているママ
●健康保険の任意継続制度(退職などで健康保険を外れた後も引き続き同じ健康保険に加入できる制度)を利用しているママ

ただし、次の2点を満たしている場合には、健康保険がご家族の扶養や国民健康保険、任意継続制度へ変わった後も、引き続き、出産手当金の支給を受けることができます。

1.健康保険が変わる前日(=退職日など)に、出産手当金を受けているか、または、受けられる状態(出産日以前42日目に健康保険に加入していること、かつ、退職日は出勤していないこと)にあること
2.健康保険が変わる前日(=退職日など)までに、継続して1年以上、健康保険の加入期間(任意継続の期間を除きます。)があること

出産手当金の金額

出産手当金は、産前産後の一定の期間で会社を休んだ日1日につき、標準報酬日額の3分の2に相当する額が支給されます。
例えば、標準報酬月額が28万円の方の場合、まず標準報酬日額は28万円÷30=9,333.333…円となり、5円未満の端数を切り捨てることで1日9,330円となります。この日額の3分の2=6,220円が出産手当金の1日分となります。
なお、仕事を休んだ期間について、会社からお給料や手当などが受けられる場合は、その金額と出産手当金の差額が支給されます。会社からのお給料や手当などが出産手当金の金額より多い場合は、出産手当金は支給されません。

標準報酬日額とは?
標準報酬日額とは、ご自身のお給料が該当する標準報酬月額(保険料の計算の基となる月収の目安)の30分の1に相当する額とされています。算出された5円未満の端数は切り捨て、5円以上10円未満の端数は10円に切り上げとなります。

出産手当金の支給期間

原則として、出産の日(出産の日が出産予定日後であるときは出産予定日)以前の42日間(双子の場合は98日間)と、出産日の翌日から56日間の範囲内で、仕事を休んだ日に対して支給されます。この仕事を休んだ日には、土日・祝日など会社が定める休日も含まれます。
例えば、出産予定日より4日遅れて出産した場合は、出産予定日から実際に出産した日までの4日間についても出産手当金が支給されます。

出産手当金の手続き

出産手当金の手続きは、下記のような流れで進められることが一般的です。

1.お勤めの会社の担当部門から「出産手当金支給申請書」を入手する。
2.必要事項を記入し、申請書の「医師または助産師の意見」の部分に、ご出産した医療機関から証明をもらう。
3.お勤めの会社へ申請書を提出し、「事業主が証明するところ」欄への記載や、必要書類の添付(賃金台帳、出勤簿)をしてもらい、加入している健康保険へ申請してもらう。

※あくまでも目安ですので、実際の流れや各々のタイミングについては、お勤めの会社のご担当部門とご相談ください。

出産手当金の申請は、産前・産後休業がすべて終了した後に行うことも可能ですし、複数回に分けて申請することも可能です。
ただ、健康保険組合や協会けんぽが申請書を受理してから実際の支給までに2週間から3週間、申請書に関する会社とのやり取りなども含めると1か月以上かかることも想定されます。そのため、産前・産後休業期間中は、ママの収入がないつもりで準備されることをお勧めします。

これらの法律や仕組みについて具体的に知りたい方は

 

※本コラムは、令和5年4月1日時点の法律に基づいています。お手続きなどの詳細につきましては、会社のご担当者様にご確認ください。