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突発的な子育てトラブルに対応するための時間を取得する|「育児時間」「看護休暇」制度

この記事は社会保険労務士が監修しています。

小さな子どもの場合、急な発熱などによる保育園からの呼び出しやその看護や通院など、突発的なトラブルも数多く発生します。そんな時に利用できる制度が『育児時間』や『看護休暇』です。

育児時間とは?

『育児時間』とは、労働基準法に定められた制度で、赤ちゃんの世話をするために与えられる時間のことです。
当初はママが赤ちゃんに授乳するための時間を想定していましたが、赤ちゃんの世話をするための時間であれば授乳に限らず、急病対応のために病院へ行く時間、急に保育園へお迎えに行かなければならない時間などにも利用できます。

授乳時間を想定しているため、対象者は1歳未満の赤ちゃんを育てながら働くママに限られており、パパは取得できません。
また、対象となる赤ちゃんの年齢も「1歳未満」とされていることから、育児休業を途中で終了するなどして職場復帰したママが利用できる制度と言えます。
なお、赤ちゃんの実子・養子は問いません。

この育児時間は1日2回、少なくとも30分ずつの取得が認められています。
「1日2回」とされている取得回数についても、必ずしも分割して取得する必要はなく、合わせて1時間(60分)として取得することも可能です。

また、どのタイミングで取得するかは原則としてママの自由となりますので、例えば、始業時刻のすぐ後、終業時刻の直前、育児の短時間勤務に加えて30分取得するなど、赤ちゃんの状況に応じて柔軟に利用することができます。

看護休暇とは?

看護休暇とは、病気・ケガをした子どもを看護するため、または子どもに予防接種や健康診断を受けさせるために取得できる休暇制度です。

小学校就学前の子どもを育てるママやパパが対象となり、正社員・パート・アルバイトといった雇用形態に関係なく利用できますが、次の方は対象とはなりません。

看護休暇の対象外となる方

  • 日雇い労働者の方
  • 労使協定(会社と従業員の過半数代表者等による協定)によって対象外とされた次のいずれかの方
    ア.今の会社での雇用期間が6か月に満たない方
    イ.1週間の所定労働日数が2日以下の方

看護休暇は1年度(注釈1)に5日まで(小学校就学前の子が2人以上の場合は10日まで)取得することができます。子ども1人につき5日ではありませんのでご注意ください。

(注釈1)ここで言う「1年度」とは、特に就業規則等で定めがなければ、4月1日から翌3月31日までを指します。

取得できる単位は、原則として1日単位または時間単位です。

「育児時間」「看護休暇」制度の利用にあたって

「育児時間」と「看護休暇」を利用するには、どちらも従業員のからの申し出が原則となります。
実際にこの二つの制度を利用する場面を考えてみると、その申し出は突発的なものとなる可能性が高いと言えるでしょう。お勤め先の中には、これらの制度の申し出に慣れておらず、突然のことに混乱が生じることも考えられます。

そのため、あらかじめ制度の内容や利用にあたっての手続きなどをお勤め先へ確認・相談しておき、利用後にはケガや病気などの事実が分かる確認書類を提出するなど、コミュニケーションを心掛けることで、会社や周囲からの協力も得やすくなるのではないでしょうか。

看護休暇については、「子の看病や通院のために休みをもらう|1年に5日取得できる「子の看護休暇」」 で詳しく解説しています。

<上手に利用しましょう>
育児時間と看護休暇は法律上の制度であるため、その利用を制限されることはありませんが、企業によっては、その取得時間を無給としています。
そのため、給与が減ることを避けるには、有給休暇を利用するという選択が考えられます。
その日に必要となる時間、残っている有給休暇の日数などを考慮しながら、育児時間・看護休暇と有給休暇を、その状況に応じて上手に使い分けましょう。

これらの法律や仕組みについて具体的に知りたい方は

 

※本コラムは、令和5年4月1日時点の法律に基づいています。お手続きなどの詳細につきましては、会社のご担当者様にご確認ください。