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子どもの運動センスは遺伝?経験?

運動センス

運動能力を左右するのは、遺伝よりも環境!?

同じように運動をさせても、子どもの運動センスに差があるのはどうしてなのでしょう? 「運動が苦手だった私からの遺伝?」なんてつい考えちゃいませんか?一般的に運動能力の良し悪しは子どもに遺伝すると思われがちですが、必ずしもそうとは限らないようです。もちろん、骨格の形や大きさ、筋肉の質などは持って生まれたものがあるのですが、一概に運動能力は素質だけで決まるものではなく、育っていく環境の影響も少なくないとか。たとえば 、アスリートの子どもがアスリートになるケースが多いのは、同じ経験を持った親が、結果として子どもの運動環境づくりを積極的に行ったからとも言えそうです。

大切なのは日々の経験の『質』?

幼児活動研究会/日本経営教育研究所・八田哲夫氏によると、一般的には、3歳の時点ですでに運動能力にかなりの開きが出ているそうです。注目して見るべきポイントは、自分の身体を自分で守れる動きが取れているかどうか?自分の身体を守るとは、走り回っていても、友達にぶつかりそうになったら止まる、転びそうになったら手をつくとか、そういった動きのことです。たとえば、顕著に差として表れるのが「階段の上り下り」。駅などでも見かけることがありますよね?自分の身体を守れる子どもは、ある程度転んだときの予想ができるので、勢いよくかけ上がって、スムーズに下りてくることができます。一方で、自分の身体に不安を感じている子どもは、手すりなどにつかまって、ゆっくり、ゆっくりとしか階段を上り下りすることができません。特に下りる時は一歩ずつ、もしくはお尻をついた状態で。それは、止まり方が分からないので、下りる方がより怖く感じるからなのだそうです。

この3歳時点で生じた差というのは、日々の経験の質の差かもしれません。日々の経験というのは、まだ「運動」とよべるほどのものではないかもしれませんが、乳幼児期に経験させる「動き」によって差が生まれてしまうのであれば、親としても軽視できないことかもしれませんね。

運動センスの良い子どもを育てるには?

東京学芸大学の杉原隆名誉教授が、「特定種目の体育指導をすればするほど、運動の総合力は低くなってしまう」という、幼児期の運動能力に関する研究結果を発表しています。これは、特定種目の指導というのは、繰り返し同じ運動をさせるために、結果として経験する動きの種類が限られてしまい、総合力としては低くなってしまうということだそうです。さらに、まだ強い競争心を持つ年代ではないので、逆にできない子どもがよりやる気を失ってしまうといった理由も背景にあるようです。他にも、本物の運動センスを育てるために必要なのは、今いる空間を認識し、それに合わせて自分の体をコントロールする能力だと、前出の八田氏も語っています。

つまり、運動センスをアップさせる近道は、日常的に体を使ってさまざまな動きを経験させること。子どもを「自由に、楽しく遊ばせる」ことが、簡単ですが何よりの解決策につながるということです。幼児期に経験できる運動というのは、走る、跳ぶ、登る、など本来30種類以上もあるそうです。日々の「遊び」を通じて、たくさんの種類の運動を経験させることが、次第に運動能力のアップにもつながっていくという訳ですね。

ただ、もっとも大切なことは、お母さん、お父さんも一緒になって子どもの「遊び」を楽しんであげるということなのかもしれません。赤ちゃんにとっては、好奇心や探究心が体を動かす原動力となっています。何度も同じことに挑戦することが多い幼児期の子どもに、根気強く付き合ってあげることも必要でしょう。親が歩けば子どもも歩く。たくさん歩けば早く走れるようになる。親が持つ小さな習慣が、いずれは子どもの経験の差になり、そしてそれが子どもの運動能力に影響を与えるということを、肝に銘じておきたいですね。

≪参考≫
子どもの運動能力を高めるには…(NHK生活情報ブログサイト)
文部科学省・幼児期運動指針(文部科学省サイト)
参考文献:「野球太郎育児 vol.1」特集「自宅で始める球育改革」(イマジニア株式会社ナックルボールスタジアム発行)

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