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出産費用をサポートしてもらう①|出産育児一時金の支給

この記事は社会保険労務士が監修しています。

妊娠・出産において、最もまとまった金額が必要となるのが出産費用です。
近年の厚生労働省の調査結果においても、全国平均で約47万円かかると公表されています。こうした経済的な負担を軽くするために、健康保険から出産育児一時金が支給されます。
(本文の内容は、全国健康保険協会、健康保険組合の健康保険に加入している方を想定しています。市区町村の国民健康保険に加入している方は、一部制度が異なりますので、詳細はお住まいの市区町村へご確認ください。)

出産育児一時金の支給額

健康保険の保険者(全国健康保険協会、健康保険組合といった健康保険の運営主体のこと)から、赤ちゃん一人につき50万円【注釈1】が支給されます。双子であれば100万円、三つ子であれば150万円です。

健康保険組合によっては、独自の付加金が上乗せされるケースもありますので、加入している健康保険組合のウェブサイトなどで確認してみましょう。

【注釈1】
産科医療補償制度(分娩時に赤ちゃんが重度の脳性まひとなった場合に、その子の看護・介護費用が補償される制度)に加入していない医療機関などで出産された場合は、48万8000円(令和5年3月31日以前の出産は40万8000円)となりますが、医療機関の制度加入率が99.9%(令和5年3月時点)であることから、50万円が支給されるケースが一般的です。

■追記(令和5年3月23日)
令和5年4月1日以降の出産分から、出産育児一時金の金額が変わります。

詳しくは「出産育児一時金の支給額に関する法改正がありました。」へ

出産育児一時金の対象者

出産育児一時金は、ご本人が健康保険に加入している、または加入しているご家族の扶養となっているママが、妊娠4か月(85日)以上で出産した場合に支給されます。
ここで言う妊娠4か月(85日)以上の出産には、死産、流産、人工妊娠中絶(※)を含みます。
※経済的理由での人工妊娠中絶の場合、加入している健康保険によっては受給できないことがあります。
なお、退職などにより加入している健康保険の保険者が変わった場合でも、変わった日の翌日から6か月以内の出産であり、健康保険の加入期間が1年以上ある方の出産であれば、変わる前に加入していた保険者から出産育児一時金の支給を受けることができます。
この場合には、以前加入していた保険者と新しく加入している保険者、どちらか一方の保険制度から支給を受けることになります。以前の保険者が健康保険組合であれば、付加金が上乗せされるケースもありますので、選択の際には事前に確認しましょう。

出産育児一時金の支給方法

現在、出産育児一時金は、次のいずれかの方法により支給されます。なお、どの支給方法を利用しても支給額は変わりません。

(1)直接支払制度
出産する医療機関が、ご本人に代行して申請を行うことで、医療機関に対して直接、出産育児一時金が支払われます。

(2)受取代理制度
加入している健康保険の保険者へ、ご本人が申請を行い、その際に出産する医療機関に受け取りを委任することで、医療機関がご本人に代わって出産育児一時金を受け取ります。

(3)産後申請方法
ご本人が出産費用を全額支払い、後日、加入している健康保険の保険者に申請することで、ご本人へ出産育児一時金が支払われます。

いつ? 誰に対して? どのような手続が必要?
(1)直接支払制度 出産前から退院まで
(医療機関による)
出産を予定している医療機関 直接支払制度利用の申出
申請・受取に係る代理契約
(2)受取代理制度 出産予定日の2か月前から申請可能 健康保険の保険者 受取代理申請書の提出
(3)産後申請方法 出産後 健康保険の保険者 出産育児一時金支給申請書の提出

多くの医療機関では「(1)直接支払制度」が採用されていますが、一部の小規模な診療所、助産所においては「(2)受取代理制度」が採用されています。「(2)受取代理制度」を採用している場合には、ご本人による申請が必要となりますので、出産する医療機関がどちらの制度を採用しているか事前に確認しておきましょう。また、「(3)産後申請方法」を選択することも可能です。
なお、出産育児一時金と実際の出産費用の差額については、出産費用が50万円を超えた場合には医療機関へ追加の支払いが必要となり、50万円を超えなかった場合には、加入している健康保険制度へ申請することにより、その差額がご本人へ支給されます。(注釈2)

【注釈2】
上記は(1)直接支払制度の場合です。(2)受取代理制度の場合は、当初の健康保険制度への申請において、差額の振込口座の指定を行うため、差額に対する別途の申請は不要となります。

出産費用資金貸付制度

出産予定日まで1か月以内で、医療機関に一時的な支払いが必要な方には、出産育児一時金の約8割(金額にすると40万円)を無利子で貸してもらえる、出産費用資金貸付制度もあります。
この場合、貸付金の返済には出産育児一時金が充てられるため、出産費用は自己負担となります。その後、出産育児一時金支給申請書を加入している健康保険の保険者へ申請することで、すでに受けた貸付金との差額がご本人へ支給されます。

これらの法律や仕組みについて具体的に知りたい方は

 

※本コラムは、令和5年4月1日時点の法律に基づいています。お手続きなどの詳細につきましては、会社のご担当者様にご確認ください。