育児休業給付金の支給金額|育児休業給付金制度②
育児休業中の生活費の補償として支給される育児休業給付金は、どのようなタイミングで支給されて、いくら受け取ることができるのでしょうか?
育児休業給付金の「対象者と対象期間」については、「育児休業給付金がもらえる対象者と対象期間|育児休業給付金制度①」をご覧ください。
育児休業給付金の算出方法
育児休業を開始した日から1か月ごとの期間(支給単位期間)における支給額は、「休業開始時賃金日額」に、「支給日数(原則30日)」を掛けた額(賃金月額)に次の割合を掛けて算出します。
・育児休業開始日から180日目まで:67パーセント
・181日目から育児休業給付金の支給終了日まで:50パーセント
- 休業開始時賃金日額とは?
- 原則として育児休業開始前6か月間の給料を180日で割った金額のことです。
(産前産後休業を取得した場合は、産前産後休業前6か月間の給料を180日で割った金額になります。)
次のケースを例に、育児休業給付金の金額を計算してみます。
(1)育児休業開始前の6か月間の給料が、1か月前33万円、2か月前32万円、3か月前35万円、4か月前31万円、5か月前32万円、6か月前32万円であった場合、その合計額195万円を180日で割った金額、1万833円(1円未満切り捨て)が、「休業開始時賃金日額」となります。
(2)このように算出された賃金開始時賃金日額(1万833円)を、支給日数(原則30日)と掛けることで、32万4990円が導き出されます。この金額が「賃金月額」となります。
(3)この賃金月額(32万4990円)の67パーセントにあたる21万7743円(181日目からは50パーセントにあたる16万2495円)が、支給単位期間(約1か月間)にもらうことができる育児休業給付金の金額となります。
また、賃金月額には上限額と下限額があり、現在の上限は45万5700円、下限は7万9710円です。
賃金月額がこの金額に達した場合は、それぞれ上限額と下限額の金額が賃金月額になります。
つまり、最終的に計算される支給金額についても、その上限は30万5319円、下限は5万3405円(50パーセントの期間は上限22万7850円、下限3万9855円)とされています。
(この金額は、令和5年7月31日までの額です。毎年8月に改定されます。)
なお、支給日数は原則として30日ごとですが、職場復帰などによって育児休業終了日が含まれる場合の支給額は、「休業開始時賃金日額」に「支給日数(暦の日数)」を掛けた額の67パーセントもしくは50パーセントとなり、30日に満たない期間であっても支給対象となります。
【注釈】「1歳に達する日」のように「▲歳に達する日」とは、法的には誕生日の前日を指しています。
給料が支給されている時の育児休業給付金
育児休業期間中に給料が支払われている場合には、支給単位期間に支払われた給料額と休業開始時賃金月額との比較によって、次の調整が行われます。
■支給単位期間に支払われた給料額が休業開始時賃金月額に対して
1.13パーセント(67パーセントの期間)または30パーセント(50パーセントの期間)以下の場合:調整なし
2.13パーセント(67パーセントの期間)または30パーセント(50パーセントの期間)を超えて80パーセント未満の場合:賃金月額の80パーセント相当額と支給される給料の差額を支給
3.80パーセント以上の場合:育児休業給付金は支給されません
それでは、休業開始時賃金月額が32万4990円だったと仮定して、上記1.2.3.のケースを考えてみましょう。
1.支給対象期間中に給料が支払われていない場合(1のケース)
支給額は67パーセントの期間は21万7743円、50パーセントの期間は16万2495円
2.支給対象期間中に給料12万円が支払われた場合(2のケース)
休業開始時賃金月額32万4990円の80パーセントは25万9992円
よって支給額は、25万9992円から12万円を引いた13万9992円
※「支給単位期間」において勤務した時間数が80時間を超えていないことが前提です。
3.支給対象期間中に給料が26万円支払われた場合(3のケース)
休業開始時賃金月額の80パーセントは25万9992円
よって育児休業給付金は支給されません
なお、支給単位期間中に80時間を超えて勤務した場合は、その支給単位期間について育児休業給付は支給されませんので、ご注意ください。
また、こうして計算された育児休業給付金は、支給単位期間が2か月経過ごとに1回、支給申請が行われ、2か月分が一度に指定の口座へ振り込まれます。この支給申請から口座振込までは、通常1週間から10日前後かかると言われています。
このように育児休業給付金は、給与のように毎月支給されるわけではありませんので、支給のタイミングを想定した上で、金銭面の余裕を持って行動されることをお勧めします。
これらの法律や仕組みについて具体的に知りたい方は
※本コラムは、令和5年4月1日時点の法律に基づいています。お手続きなどの詳細につきましては、会社のご担当者様にご確認ください。
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