働くママを応援する法律講座【第10回】休業から復帰した後の働き方(1)

産後休業・育児休業など、人それぞれの休業が終了すれば、いよいよ職場復帰です。
いざ職場復帰となると、久しぶりに仕事ができる喜びもある反面、子どもが産まれた後の生活リズムの変化、子どもを保育施設に預けることへの不安など、心身に大きなストレスがかかります。また、食事・着替え・お風呂の時間に、保育施設への朝晩の送り迎えも加わり、子どもが産まれる前と後では、働く環境・条件・時間の制約が大きく変わります。

そこで育児・介護休業法では、働く時間の一部を免除することによって、子育て初期のママやパパの負担を減らす制度を定めています。

1.時間外労働の免除
法律で決められた労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えて働く時間が一部免除される制度です。

2.所定外労働の免除
会社の就業規則などで決められた労働時間を超えて働くことが免除される制度です。

3.深夜業の免除
法律で決められた深夜時間(夜10時から朝5時まで)に働くことが免除される制度です。

4.短時間勤務制度
会社の就業規則などで決められた労働時間が短縮される制度です。(原則として、「1日の所定労働時間を6時間とする措置を含むもの」とされています。)

残業をセーブしたい!「時間外労働の免除」

職場復帰するにあたって「どのぐらいの時間、働くことができるのか?」という点は、その人の生活環境によって異なります。
家族など周りのサポートがあり、時間外労働(いわゆる「残業(注釈1)」)の全てに対応できる方は問題ありませんが、正直なところあまり長時間の残業はできない、という方については、残業を一定時間以内にセーブできる制度があります。

注釈1:ここでいう残業とは、労働基準法で定められた労働時間の上限(1日8時間、1週40時間)を超えて働くことをいいます。

この制度では、対象者となるママ(パパも利用可能、以下同じ)が会社に申請することで、残業時間を1か月24時間、1年150時間以内にセーブしてもらうことができます。

時間外労働の免除
●対象者
小学校入学直前の3月31日までの子どもを育てる労働者
●主に対象外となる人
・働き始めて1年未満の人
・1週間の労働日数が2日以下の人
・日雇で働く人

残業を全くしなくてよいというわけではありませんが、今よりもできるだけ残業を減らしたいと考えているママは、利用を検討されてみてはいかがでしょうか。

残業を免除してもらいたい!「所定外労働の免除」

さらに、保育園などへの送り迎え(特にお迎え)があることを考えると、一定時間の残業はおろか、残業すること自体が難しい、という方もいらっしゃるでしょう。
そんな方は「残業を免除してもらう制度」がおススメです。

この制度では、対象者となるママが会社に申請することで、残業時間そのものを免除してもらうことができます。

所定外労働の免除
●対象者
3歳の誕生日の前々日までの子どもを育てる労働者
●主に対象外となる人
※会社と従業員とで決めたルール(労使協定)で対象外と定められていることが必要です。
・働き始めて1年未満の人
・1週間の労働日数が2日以下の人
・日雇で働く人

ここでお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、先に説明した「時間外労働の制限」と、この「所定外労働の免除」、よく似ていますよね。混乱しないよう、違いをまとめておきます。

時間外労働の免除
「法律で決められた労働時間」が基準。
誰でも一律に1日8時間・1週40時間を超えて働くことが一定時間免除されます。

所定外労働の免除
「就業規則や雇用契約書等で決められた労働時間」が基準。
就業規則等で決められた労働時間が7時間であれば、7時間を超えて働くことが全て免除されます。

夜遅い時間の労働を免除してもらいたい!「深夜業の免除」

ママやパパのお仕事によっては、労働時間の一部が深夜(午後10時から午前5時まで)となる方もいらっしゃいます。また仕事柄、よく残業で午後10時を超えてしまう、という方もいらっしゃるでしょう。
ただ、子育て期間と深夜業が重なることによる心身の負担は計り知れません。そんな時、この深夜業の制限を利用されてみてはいかがでしょうか?

この制度では、対象者となるママが会社に申請することで、深夜業(午後10時から午前5時までの労働)を免除してもらうことができます。

深夜業の免除
●対象者
小学校入学直前の3月31日までの子どもを育てる労働者
●主に対象外となる人
・働き始めて1年未満の人
・1週間の労働日数が2日以下の人
・日雇で働く人
・働く時間のすべてが深夜業の人
・保育ができる同居家族がいる人

ただし、ケガ・病気や出産前後の状態にない16歳以上の同居家族がいる場合は、自宅での保育ができるものとして、この制度の対象外となりますので注意しましょう。

制度を利用する時の始め方・終わり方

ここで紹介した制度は、条件に当てはまれば自動的に適用されるわけではなく、労働者からの申請があることを前提としています。これは、利用しない自由も認められているためです。
申請の際には、次の点を押さえておくようにしましょう。

●手続
開始日の1か月前までに、期間を定めて会社へ申請
●期間
1回の申請につき1か月以上、1年以内(深夜業は6か月以内)
●申請回数
対象となる期間中であれば何回でも制限なし
※ただし、次の場合にはママやパパの意思に関わらず、自動的に終了となります。
・子どもを養育しなくなった場合(死亡、養子縁組など)
・子どもが対象者となる年齢の上限に達した場合
・すでに制度を利用しているママ・パパの産前産後休業、育児休業、または介護休業が始まった場合

なお、これらの制度を利用することによって、どうしても会社の業務が回らなくなるような場合には、会社が制度の利用を拒否することも認められています。そのため、制度利用の際には、早めに会社(上司や管理部門)に相談するなど、会社や一緒に働く人への配慮も忘れないようにしましょう。

対象外でも、妊産婦であればこちらの制度が利用できます!

さて、ここまで見てきて、残念ながら制度の対象外となってしまったママも、中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
そうした対象外となったママであっても、妊産婦の期間(妊娠中から出産後1年間)に復帰していれば、育児・介護休業法ではなく、労働基準法の「時間外労働・休日労働・深夜業の制限」を申請することができます。

●対象者
妊産婦(妊娠中から出産後1年間を経過しないママ)であれば正社員、アルバイトなどの働き方や、働く日数・時間などは関係なく利用することができます。パパは対象外です。
●手続
会社へ申請した上で利用します。開始したい日から利用できます。
●期間
会社が妊娠を知った時から、子どもの1歳の誕生日の前日までです。

時間外労働の制限では、育児・介護休業法とは異なり、残業(1日8時間・1週40時間を超えて働くこと)は「一定期間の制限」ではなく「全面免除」となります。
さらに、育児介護休業法にはない「休日」に働くことも免除されます。
なお、この休日は労働基準法で義務付けられている「少なくとも毎週1日の休日」を指しますので、必ずしも土・日・祝日など、すべての休日労働が免除となるわけではありませんのでご注意ください。

まとめ:出産後に働く時間の一部を免除する制度と適応時期

最後に、これらの制限や免除が利用できる時期をまとめましたので、参考になさってください。

今回お伝えした制度では、働く時間を所定労働時間(就業規則や雇用契約書などで決められた労働時間)に抑えることが制限のマックスでした。しかし育児・介護休業法では、この所定労働時間自体を短くする制度、すなわち短時間勤務制度も定められています。

詳しくは第11回でお伝えします。

(監修:特定社会保険労務士 中野 泰)

 

※本コラムは、平成25年8月1日時点の法律に基づいています。お手続きなどの詳細につきましては、会社のご担当者様にご確認ください。

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