必要な人に必要な支援を「令和6年能登半島地震 支援情報ナビ」

復職後の社会保険料の負担を減らす|社会保険料の特例措置

この記事は社会保険労務士が監修しています。

安心して出産や育児にとりかかれるように、出産手当金や育児休業給付金、産休・育児休業中の社会保険料の免除など、職場休業中における金銭面での支援制度がありますが、実は、職場復帰後にも育児をしながら働くママを支援する制度があります。
これらをしっかり確認して、職場復帰に備えましょう。

「出産手当金」については「出産費用をサポートしてもらう②|出産手当金の支給」をご覧ください。
「育児休業給付金の対象者と対象期間」については「育児休業給付金がもらえる対象者と対象期間|育児休業給付金制度①」をご覧ください。
「育児休業給付金の支給期間と支給額」については「育児休業給付金の支給金額|育児休業給付金制度②」をご覧ください。
「産休・育児休業中の社会保険」ついては「健康保険や厚生年金などの支払いを免除してもらう|産休・育休中の社会保険料の免除」をご覧ください。


1.社会保険料の見直し

産前・産後休業や育児休業を終え、職場に復帰されるにあたっては、お子さんが小さいうちや新しい生活に慣れるまでの間、多くの方が『短時間勤務制度』を利用します。
この短時間勤務制度を利用すると、例えば元々8時間勤務だった方が、職場復帰後に6時間勤務になった場合などには、その勤務時間が短くなった分、お給料が減額されることが一般的です。
また、産休・育児休業期間中には免除されていた社会保険料も、職場に復帰すると給与からの天引きが再開されます。ただ、復帰した直後は、休業前と同程度の保険料額となりますので、短時間勤務制度を利用した場合、給与は減る一方で、休業前と同程度の社会保険料を負担しなければなりません。

ただし、一定の要件を満たした場合に、産休あるいは育児休業終了日の翌日が属する月以後3か月間のお給料の平均額に応じた社会保険料に見直す手続きがあります。これを『産前産後休業終了時報酬月額変更届』もしくは『育児休業等終了時報酬月額変更届』 といいます。
この手続きは、ご本人の申し出により会社を経由して行うことが原則となりますので、届出書類にはご本人の署名やお認印のご捺印が必要となります。なお、この手続きの対象となっている場合、会社側から連絡があることが一般的ですが、給与が減っているのに何の連絡もない場合は、念のため、手続きの対象者になっていないか?必要な手続きはないか?など、会社に確認してみるといいでしょう。

「短時間勤務制度」については「所定労働時間を短くしてもらう|短時間勤務制度」をご覧ください。
「社会保険料の免除制度」については「健康保険や厚生年金などの支払いを免除してもらう|産休・育休中の社会保険料の免除」をご覧ください。

2.厚生年金に関する特例措置

社会保険料は、お給料に応じて個々に設定されている「標準報酬月額」という金額をもとに算出します。前述の社会保険料を見直すということは、この標準報酬月額を見直すことを意味します。
短時間勤務制度等を利用したことにより、標準報酬月額が低下した場合には、子どもが3歳になるまでの間、「子どもが生まれる前の標準報酬月額にもとづいて将来の年金額が計算される」という特例措置が適用されます。
この手続きは『養育期間標準報酬月額特例申出書』という用紙を使い、ご本人が会社を経由して申請しなければなりません。また、申請するにあたっては、以下の書類を準備して添付します。

①戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書
(申出者・ご本人とお子様の関係と、お子様の生年月日を証明できる書類)

②住民票の原本
(申出者・ご本人とお子様が同居していることを確認できる書類)

なお、子どもが生まれてから引っ越している場合などは、追加で添付書類を準備しなければならないケースもありますので、事前に会社や年金事務所に状況を伝え、必要書類を確認するといいでしょう。

以上のように、産前から産後、育児休業、職場復帰後までと、数年間に渡り、育児と仕事を両立するための支援制度が張り巡らされています。制度が多岐に渡るため、なかなか全てを把握することは難しいのですが、働くママを応援・支援する制度であることには間違いありません。
仕事との両立に不安を感じたり、悩みがあったりする場合には、一人で抱え込まず、会社や上司などに対する報告・連絡・相談を心掛け、職場の協力を得て、これらの制度を上手に活用しましょう。

手続きについて

なお、社会保険料の免除に関する手続きは、会社が行うことになっています。
皆さんが手続きする必要はありませんが、出産予定日と出産日が異なり、産休期間が当初の予定とずれてしまった場合や、予定していた育児休業期間を変更する場合などは、社会保険料の免除期間も変わり、会社として手続きが必要となることがあります。産休や育児休業の期間が変わりそうな時は、必ず事前に会社に連絡するようにしましょう。

これらの法律や仕組みについて具体的に知りたい方は

 

※本コラムは、令和5年4月1日時点の法律に基づいています。お手続きなどの詳細につきましては、会社のご担当者様にご確認ください。